13-4アイシテルミッツ三勇魔会談④

ーーーールナ・ティアドロップ ーーーー


 ジェイドくんのステータスを見ます。


ジェイド・フューチャーLv1952

『魔王』『全属性魔法使用可』『錬金術』『全テヲ砕ク者』『木?魔法(装填中)Lv1952』『星ノ眼』『???技?Lv1952』『??新?Lv850』

力:10(防御貫通) 魔力:10000(+1000000)

感情ステータス:いい気分


 私達は、完全に言葉を失いました。


フラン・ハミンゴボッチLv900

『幼龍』『魔王の忠臣』『腐乱』『全属性最大強化』『物理・魔法耐性特大』『力・魔力常時相互変換』『力・魔力相互変換時限界突破』etc

力:65000(+65000) 魔力:65000(+65000)


 フランちゃんのステータスも見ますが、全然頭に入ってきません。


 当然、私達のステータスも丸見えです。


キレーヌ・タイムカードゥ24世 Lv1000

力:10000 魔力:40000

『法皇』『法力使い』『光属性最大強化』『信仰の法力化』『若年化』


 キレーヌ様のステータスは初めて見ました。


ジャック・ザ・ニッパー Lv1000

力:50000(+50000) 魔力:30000

『殺』『勇者』『斬鉄の刃』『殺害衝動時覚醒』『ディアーボス・フロムデス(使用不可)』


ウーサー・ペンタゴン Lv1000

力:20000 魔力:60000(+60000)

『時』『勇者』『時魔法使用時覚醒』『未来予知(使用不可)』『プラチナ・ザ・ワールド』


ルナ・ティアドロップ

力:10000 魔力:80000

『月』『勇者』『魔力補充』『補充回数無制限』『ムーンエナジーフォース』『ブレザー・ムーン』


 私達はたまに見せ合っていますが、いわゆる切り札的な必殺技も表示されるので、余程の事が無ければ味方陣営にも見せるなと、ウサちゃんには言われていました。


「皆、良いステータスではないか。勇者は必殺技もあるのだな。実に興味深い。ちなみに、我が称号のハテナ記載は我にもまだ解読できていない。もし、分かれば教えてくれると助かる。見ての通り、我は史上最弱の魔王ゆえにな。では、さらばだ。フラン、ゆくぞ」

「はーい! ゆうしゃ! ほうおー! ばいばーい!」


 そして元気なフランちゃんの手を引き、ジェイドくんは去りました。


 門兵さん達との会話が最後に聞こえてきます。


「兵士さん、ありがとうございました。おかげで勇者様達と有意義なお話ができました。ではまたどこかで」


 ジェイドくんのすごく社交的な言葉が聞こえてきました。

 この天幕は中から外に出る音のみを遮断する障壁を張っているので、外の声は中が静かなら聞こえます。


 完全な静寂を迎えると、ウサちゃんは腰を抜かしたようにへたりこんでしまいました。


「……すまないのである。完全に我の失策であった」


 ウサちゃんは声を震わせながら、呟くように言います。


「いいえ、誰もウーサーを責めることはできません。本当は貴女だけ、ステータスを見せるつもりだったのでしょう? 十分な働きです。勲章を、あげたいくらいに」


 キレーヌ様は、椅子に大きく凭れて顔を上に向けながらウサちゃんに労いの言葉をかけます。


「で、どーすんだよ。つっても、選択肢なんてねぇと思うがな」


 ジャッくんは、もはや開き直っている感じがしますね。


「どーするもこーするも無い。結局この場全員のステータスを丸裸にされた。魔王と新四天王のステータスを見ることができたのは収穫だが、それをこちらの利とするには、同レベルが前提である」


 ウサちゃんは深呼吸して、泣きそうなのを堪えていました。


「勝てる……訳が無いだろう。なぜレベルが1000を超えている。ほぼ倍だと? ふざけすぎだ。しかも、それで自らを最弱と言う? どういうつもりだ。まだ強くなる気が? もう満足しろ。しかもなんだあのハテナだらけの称号は? 意味が分からんし分かりたくもない。フルオープンって……ぐすっ、なんなのだぁ。ふぇえぇえん」


 ウサちゃん、泣いちゃった。

 どんな時も、強くて、頼れて、意地っ張りだけど、決して弱いところを見せることがなかった勇者、ウーサー・ペンタゴンがです。


 私と、キレーヌ様で、ウサちゃんに寄り添います。

 いつもなら断固拒否ですが、今回だけは私の胸を貸してあげます。今回だけ特別に、ですからね。

 よしよし。


 しばらくして、落ち着いたようです。

 私の胸の中でもぞもぞし始めたので、キレーヌ様の胸に押し付けます。


 キレーヌ様は嬉しそうにギュッとウサちゃんを抱きますが、ウサちゃんは脱力して目が死んだようになっていました。

 さすがに、ちょっと失礼です。

 おばあちゃんにギュッてしてもらえたら、普通は嬉しいですよね?


 あ、ウサちゃんが一瞬の隙を突いて離れました。


「こほん、みっともない姿を見せてしまったのである。泣いてもどうにもならんが、おかげで落ち着いた。スマンな。改めてジャックの問いに答えよう。これからどうするかについてだが、やることは1つである」


 ウサちゃんは、力強く息を吸いました。


「なんとしても、ネンキーン王を説得するのである! そして和平を結ぶ! 確実に! どう考えても、魔王ジェイドとは、敵対するより仲間に引き込んだ方が良い。幸いヤツは人間で地球生まれということが分かった。今後のことを考えれば、こちらが無茶さえ言わねば、我らを悪いように扱うこともあるまい。可能な限りの政治と軍事の現状維持を目標に、和平交渉に入るのである! キレーヌ様、異論は?」

「ありません。それが人類にとって最良の道であることは、この身を持って理解しています。私もネンキーン王に進言しましょう」


 キレーヌ様は即答です。

 ウサちゃんもジャッくんも、外に出る支度を始めました。


「ルナよ、これからすぐにネンキーン王のところへ行く。魔法を頼むのである」

「うん、分かった」


 そして、私達は飛び立ちます。


 私達は人類の希望。

 恐らく、歴史上始めて魔王と和平を結ぼうとしている者です。


 間違いなく、今日の会談は歴史に刻まれるでしょう。


 極秘裏に、そして電撃的に行われた『アイシテルミッツ三勇魔会談』として。


 本当に、これからどうなるんだろう。


 そこはかとなく嫌な予感がします。

 私だけではなく、みんなの胸にです。

 トゲのようにチクチクと、刺さるような不快な痛みのように。



ーーーー Norinαらくがき ーーーー

魔王のレベルが1000だと思っていたら倍近くあった件。

勇者よ、心情を述べよ。


ウ:バグである!

ジャ:チートだろ!

ル:パッチまだー!?

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