11-1フラン・ハミンゴボッチ
きのうのおはなし。
パパがきたの。
おしごとで、とおくに行っちゃうって。
だからフラン、いい子でおるすばんって。
がんばる。フラン、いい子だから。
広いけど、くらいおへやで、フランは一人ぼっち。
フラン、がんばるから、パパもがんばれ。
きょうは、なにしよう?
パパがいないから、1人であそぶ。
じゃあ、きょうは、じこしょうかいする。
いっつもパパと、じこしょうかいのれんしゅうしてるの。
あたらしいしてんのーに、フランがなったとき、まおー様に、きちんとあいさつ、できるよーにって。
「まおう様、フラン・ハミンゴボッチです。特技は、フランに触れる物、そのしゅべてを腐食・腐敗させるものとなっておりましゅ。この力、まおう様の思うじょんぶん、振るっていただければと思いましゅ」
んー、ひゃくまんてんまんてん。
フラン、てんさいっ。
いつもはパパが、ほめてくれるけど、いない。
あーあ、おもちゃはぜんぶ、くさっちゃうし、パパ、はやく、かえってこないかな。
きょう、めずらしく、サキュバスのひめがきた。
名をテンテンというらしい。かわいい。
まおーさまのめいれいで、フランをつれていくって。
いいの? おそと、出ていいの?
パパは、ぜったいダメだって。
パパより、まおーさまがえらいから、いいの?
パパに、あいにいくの?
なら、いく。
フラン、1人であるくから、おそいの。
あしがね、ぐにゃぐにゃってなるから、まっすぐあるけないの。
おめめも、そんなに見えないの。
だから、こっちだよって、よんでね。
おっきなとびら。
えっけんのま? ここでまつの?
すぐによばれるから、いい子でまてる?
うん、まつ!
あ、入ってよしって!
ごめんなさい、うれしくって、とびら、さわったらとけた。
まっすぐ、できるだけ、まっすぐあるく。
みしぇと、のーんと、ギリギリがいる。
たまに、ようす見にくるくせに、フランがちかづくと、ぜったいにげる。
でも、きょうはにげないのね。
フランの、しらないお兄ちゃん? がいる。
のーんより、ほんのちょっと背がたかい人。
「フラン・ハミンゴボッチだな。初めましてだ。我が名はジェイド・フューチャー。当代の魔王である」
まおー様だ!
えーっと、えーっと、じこしょうかい!
「まおーしゃま。フラン・ハミンゴボッチでつっ……」
いたい……かんじゃった……。
「フランよ」
お、おこられる!?
「自己紹介、ありがとう。また今度、ゆっくり聞かせてくれ。ドランへ……」
ゆるされまちた。
でも、パパ? いるの?
この、たかいベッドのうえ?
「フラン……申し訳……ありません」
「パパ? どこ? ベッドのうえ? 見えないよ!」
ジャンプしようとしても、ゆかが、フランをつかまえてるの。
「わぁっ!?」
フランのしたに、パパが見えた。
あれ? フラン、あしが、ういてる? とんでる? つばさ、とけたのに?
「すまないな、勝手ではあるが、我が抱えよう」
まおー様に、だっこされた?
「おぉ……フラン……良かった。本当に、良かった。ジェイド様なら……あるいはと……ごほっごほっ……思っておりましたが、これで、もう、安心で……ございます」
「ドランよ……力及ばすで、すまなかった。安らかに……眠れ」
パパ、なんで、ないてるの?
おなか、どうなってるの?
なんで、ないふ、ささってるの?
「パパ、パパ、いかないで。フランを、おいていかないで!」
パパが、もっととおくにいっちゃう気がしたの。
すっごく、とおいところ。
ママと、いっしょのところ。
「フランも、つれてって!」
パパ、目を、とじないで!
「いやっ!」
フランは、パパに手をのばす。
パパを、くるしめるのはこのナイフ。
だから、フランは、ナイフをつかむ。
「いたいっ!」
「ごふぁっ! ぬぅぅぅああああ!」
「ドランが息を!? フラン、一旦ナイフを放せ!」
「やぁだぁ!」
パパをくるしめてるナイフ、フランはぜったいゆるさない!
「ジェイド様! フランの力が、呪いにヒビを! 効いております!」
「なにっ!? 本当かギリ!?」
「自他ともに見境のない強力なフランの力であればかと!」
「呪いを腐らせるということか!?」
のろい? フラン、やくに、立つの?
「フラン、ナイフの、のろい、こわす。だから、パパを、たすけて! ジェイドさま、おねがいっ! フランも、いたいの、がんばるから!」
「どうせダメなら……やるしかあるまい! ドラン、フラン! 今こそ家族の絆を見せよ! 勇者の呪いなど、完膚なきまでに叩き潰せ! 我も治癒魔法をかけ続ける!」
おてて、いたいっ!
「ぉぉおおおおおおおあっ!」
でも、パパも、がんばってる!
フランも、がんばる!
だから、だからっ!
「おねがいっ! パパ! がんばれええええぇ!」
「ォォアアアアアアアアアアア!!!!」
バキンッて、ナイフから、おとがした。
でも、ナイフ、こわれてない。
「や、やりました! ジェイド様!」
「よくやった! フラン、ドラン! よしっ! ありったけの治癒魔法だ!」
まおー様が、キラキラのちゆまほーをパパにかけた。
おなかのドロドロ、ぜんぶなくなって、いつものパパのおなかになった。
パパが、からだを、ゆっくりおこす。
「ドラン、治癒魔法ではすぐに血は戻らん。まだ横に……」
「申し訳ございません、ジェイド様。もう少しだけ、私とフランに治癒魔法をお願いできますか?」
「……ふっ、良かろう」
「フラン、少し痛いかもしれませんが、おいで」
パパ、フランを、だっこしてくれるの?
いつもは、ぜったい、ダメなのに?
「いいの?」
「ジェイド様が、良いと言ってくださる時だけですよ」
「うん! いたいの、がまんする! パパ……パパァ! ふぇええん!」
いたくてもいい。
パパのだっこ。
はじめてのだっこ。
「フラン、すみませんでした。ジェイド様、ありがとう……ありがとうございます」
「パパ! ぐすっ、パパ。おかえりなさぁい!」
ジェイドさま、ありがとー!
ーーーー Norinαらくがき ーーーー
用意したティッシュを使ったか?
私は使った。1枚も使ってしまった!
フラン・ハミンゴボッチ。由来、見ての通り。
生粋の
天からの声がする。
??:救いなさい。その
Norin:次回をお待ちくだされよぉ!
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