2-2四天王ギリ・ウーラ【挿し絵あり】
サキュバスの姫が言った。
間も無く魔王が目覚めると。
「ば、バカな!? もう魔王の系譜を読み切ると言うのか!? 聞いた話ではあるが、膨大な知識の取得に最低でも7日はかかるとのことだぞ! 歴代魔王でも最速5日だと言うのに!」
「膨大な知識が、すでにあったということ?」
「それこそバカな話だミシェリーよ。『魔王の系譜』を読む前に魔王だと自覚する魔王など、一体どこに……」
目の前にいらっしゃる!?
「……私が愚かだった。認めよう。ともかく! 魔王様を全てを把握する! サキュバス! インキュバス! 目覚めた直後にテンプテーションをかけ、ステータスオープンさせるのだ! とにかくフリでも構わん! 魔王様と……仲良くだ!」
「もう、目覚める」
くっ、時間がない!
あとは各自でやれ!
私は視線で訴え、跪く。
そして、玉座を指先で叩く音が響いた。
「眠ってどのくらい経過した?」
声色が先程と同じ!?
『魔王の系譜』を読む前と後で変化が無いだと!? 最初から魔王だったとでも言うのか!?
「ハッ! 10分も経っていないかと」
ミシェリーが魔王様の質問に答える。
「ミシェリー、面を上げよ。他の者もだ。立って楽にして良い」
いや、私の考え過ぎだ。
こうして友好的な態度を取ってくると言うことは、魔王様もこちらを測りかねているということ。
多少時間は掛かっても、必ずや新魔王の全貌を暴き出して……。
「これより、我とお前達とで、友好を深めねばならんからなぁ。友好のフリ……では無いぞ?」
バレている!? 私の思惑が!
あの見下すような笑み、間違いない。
しくじった!?
先程の会話、聞かれていたというのか?
いや、それはないはずだ。そう思いたい。
私のアイコンタクトでサキュバス、インキュバスは首を横に振っている。
二人が泣きそうな顔をしているところを見るとテンプテーションも効いていないらしい。
何なんだこの新魔王は!?
「そう怯えるな。他意は無い。その証拠だ」
他意はない? 騙されんぞ!
「『ステータス・フルオープン』」
な、に? フルオープン!?
『ステーテスオープン』と違い、相手のステータスをも強制開示させる魔法。
しかし、自らの『感情ステータス』を晒さなければならないデメリットの大きい魔法だぞ。
なぜ、そんな……。
いや、良い。
結果として新魔王の魔法やスキルを確認できる。
これは僥倖だ。
どれ、魔王の力、拝見させていただこう。
ジェイド・フューチャーLv1
『魔王』『全属性魔法使用可』『錬金術』『?????Lv1』
力:10 魔力:100
感情ステータス:愉悦
ん?
弱い。どれくらい弱いかと言えば魔王史上最弱だ。レベル1を考慮してもだ。レベル1000になっても力、魔力共に10000行けば良いだろう。
しかしなんだ?
『?????Lv1』とは。
スキルに対し、レベルが付与されている。表示不可能と言うのも初見だ。
これがこの魔王の真の力とでも言うのか?
ふんっ! こざかしい。
『?????』とは、つまり魔王本人すら把握していないと言うこと。
何が新魔王だ。ただのハッタリ魔王ではないか。
そうであるなら、停戦のこの状況を利用するだけして抹殺すれば問題無いな。
「素晴らしいスキルだ」
……は?
何の事を言っている。
自分のスキルを見て言っているのか?
使えないスキルなど、ただのゴミでしかないのだぞ。
ピコーン。
ん? 音が鳴った?
『?????Lv2』
増えた!?
「なるほど」
なん……だと?
新魔王、その不明なスキルを把握している!?
いや、当たりを付けたというところか!
魔王の感情ステータスは『歓喜』。
この状況で歓喜とは、私達は踊らされているだけとでも言うのか。
新魔王は弱い。
しかし、ただ弱いだけではない。
サキュバスとインキュバスのテンプテーションが効かない理由も分かっていない。
何なのだ。何なのだこの魔王は!?
まぁよい。
まだ初日。
此度は失敗したが、『次』こそは、私、ギリ・ウーラが魔王になってやる。
今しばらくは、四天王として、ジェイド様の下で仲良く働いてやろう。
ーーーー Norinαらくがき ーーーー
ギリ・ウーラ 名前の由来?
↑ この名前、よーく見てね!
魔王になりたい四天王
VS
絶対魔王にさせられないNorin
ファイッ!
なぜいきなりそんなネタバレを?
さすがにね、それはね、オマージュやパロ越えはね、できないよね、ゴメンね。
R5/7/6 ギリ挿し絵公開
https://kakuyomu.jp/users/NorinAlpha/news/16817330659914558287
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