誰何Ⅵ-Ⅰ
本当なら今日はあと一往復する予定だったが、突然の敵襲があったせいで押している、戻り次第終了だろう、という話だった。
「こういうことってよくあるんですか?」
年長の
倉庫の
「よくはないなあ。おまえさん、……
「雉はまだ入って半年ですよ」
ほとんど話したことのない
「お……おまえ、しゃべれたのか!」
なんで山下さんが驚いてるんだ、と思ったが<結束>には<結束>のやり方がそれぞれある。
「まあ王に声帯がちゃんとついていたことはあとあと
「雉が入るちょうど三日前に似たような事案がありましたよ」
「あれは違うだろ、明らかに
いかつい感じに髭を蓄えた小柄な山下さんと、ひょろっとして色白、どことなく面妖な雰囲気を漂わせた王さんが話していると、なんとなくドワーフとエルフ(物の本で読んだ)の会談といった
「おい雉! おまえが訊いてきたんだろ、いまの話聞いてたか?」
「え? なんです?」
「犬のことだよ。おまえ、もう
「はぁ?」
「犬さんはですねえ、早く子供が欲しいらしいですよ。わたしも誘われたことがありますが、断りました。タネなしなので」
「やりもしねえでタネなしもなにもねえだろうにな? 知ってるか、雉。コイツ、童貞なんだぞ」
「ちょ、え。なんの話なんですか、コレ?」
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