誰何Ⅴ–Ⅱ
敵襲だという。
俺と犬は顔を見合わせた。
そんなことがありえるのか、とお互いに思っていることが瞬時に伝わった。
俺たちは傭兵ではなく、あくまで目黒書店の
いや、義勇ではなく、単に困る、という話かもしれない。
国が本当に滅びようとしている時には、愛国者であろうと革新者であろうと手を取り合い守ろうとするだろう。生きる地はそこにしかないのだから。
背を向けるのは売国奴だし、売国奴はどこでも生きていける。少なくとも、そう思ってるからこそ国を売れるのだから。
「
「実は身内とか、そういうのもいらないんですけど」と俺は二〇式小銃の
「そういうのは読まんからわからんな」
俺は吹き出した。
「気持を切り替えろ。やられるぞ」
少し動揺したような犬の声。その
まだ銃声は遠く、軽い。それでも風に乗って硝煙の匂い。確かに気を抜いてる場合ではない。
ところでどうして俺が笑ったか教えよう。
犬は、こんなナリで
そんなもののために犬は命を張っているわけではなく、あくまで息抜きなのだろう。
——いや、本当にそうだろうか?
そんなもののために命を張ることだってあるかもしれない。
前線とはいえ、管内擁する最新兵器部隊がコトのほとんどを成し遂げ、我が
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