誰何Ⅴ–Ⅰ
内戦は終わった。散々煽り立てられた民衆の想いや犠牲などは全く
だが近いからこその憎悪というものもあったりする。水よりも濃い血の繋がりがあるからこその骨肉の争いといったような。
殺しこそはしないが
——というような
管内の倉庫に襲撃をかけるとは、一体どんな相手なのか。自信の程を窺わせるだけの戦力が確かにあった。いや、あるように思えた。<
戦争には法がある。
野蛮人ではないのだから当たり前だ(のクラッカー)。
倉庫は中立で
半島からの刺客、ぐらいしか思い浮かばなかった。奴等も出島となっている倉庫の恩恵を受けているはずだが、もし侵略戦争を始めようというのなら恰好の獲物ではある。
いや半島ならば管内などよりもっと手近な、裏日本の島とかもある
「おまえな」と犬が呆れたように言う。
「脳みそを目の前のこと以外に使うな。敵の目的とかはどうでもいい、大切なのは生きることと敵を倒すこと、だ」
俺はため息を
「本当にあれは敵なんですか?」
「敵というのは」
犬が視線を前に向けたまま言う。
「元々そういう存在じゃなく、状態としてどうかだ。愚問にもほどがあるだろ」
*
中華街の
敵襲だという。
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