第9話 集結



 現在、俺たちSクラスは四限終わり、理事長も含めて第二訓練場で待機していた。

 

「あと1分ですわね。」

 

「本当に来るの?」

 

「来ますわよ。ほら。」

 

 理事長が上空を指差す。全員で上を見上げると、何かが飛んでいて、そこから何かが降ってきた。徐々に大きくなってきた物体は、人だった。

 

「人?!!!」

 

 人だと思った時にはもう遅く、落ちてきた人は地面に激突した。砂埃から出てきたのは、

 

「はい! 呼ばれてきました!! お仕置きはやめてください!!!」

 

 桃色髪のストレートツインテールの18歳くらいの女性が、腰を九十度に曲げていた。

 

「久しぶりね、ミリア」

 

「お久しぶりです、隊長!!」

 

 顔をあげると今度はシュバっと敬礼をした。

 

「隊長はやめなさい。私はもう隊長じゃないの。」

 

「でも、隊長は私たちの隊長ですし……隊長と呼んで差し支えありません!」

 

「私が差し支えるんだよ、っと、また誰か来た。」 

 

「え?」

 

 また、上を見上げると今度は金髪ゴリゴリの若そうなマッチョ男がパラシュートを操作して降り立った。

 

「姉御ー!! ちゃんときたぜ?!」

 

 目につけていたゴーグルを首まで下ろすと、爽やかな笑顔でサムズアップをかました。

 

「はいはい、ガスティーも久しぶり。」

 

「はいはいはいはい! 私もいます!!」

 

 金髪マッチョの男の背中から、25歳くらいのポニーテールの赤い髪の女性が顔を出した。どうやら金髪マッチョの背中に張り付いていたらしい。

 

「ニーナも元気そうね。」

 

「姉さん! お久しぶりです!」

 

「ぎぃやぁぁぁぁぁあーーーーー!!!!!」

 

 すると、今度は上から、箒に跨って泣きながら男の人が降ってきた。その背中には20歳くらいの青年がいる。どうやって着地するのかと思ったら、二人は金髪マッチョにうけとめられた。

 

「ガスティー……ありがとう……」

 

「チドルフもヒーデリックも変わらんな! あっはっはっは!」

 

「楽しかったぁ!」

 

「僕は楽しくなかったよ!! ヒーデのバカ!」

 

 箒に跨って泣いていたのは、まるメガネをかけたいかにも臆病そうな男。その背中に乗ってケラケラ笑っているのは20歳くらいの青年。

 そして、

 

「全く……お前たちは本当騒がしいな。」

 

 降ってきた人たちの向こう側にいつのまにか出現した青髪のクールそうな男性が立っていた。

 

「あ、キリスタン! ひっさしぶりー!」

 

「お前たちはもう少し、元貴族という自覚を……」

 

「まぁまぁ、キリスタン、そこまでにしてあげて。」

 

 青髪の人がお小言を言っていると、訓練場の壁際から、これまたいつからいたのかわからないが、緑髪のいかにも優男が現れた。

 

「スクローマ……あなたが甘やかすから、この子らが好き勝手をしてしまうんですよ? 少しくらいは説教をしなくては……」

 

「神経質はモテねぇぞー?」

 

「ユリアス。あなたにも言っているんですよ。」

 

「そうカリカリしなさんな。」

 

 薄紫色の気だるげな雰囲気の男が訓練場の入り口から入ってきた。一番まともな入り方をしている、と、思う。というか、本当にこの人たち何者なんだ……?

 

「おい、こら…」

 

「?!」

 

 俺の隣からドスの聞いた声が聞こえて、背筋に悪寒が走った。初めて聞く声に一瞬誰の声だかわからなかった。

 

「「「「びっくぅー!!」」」」

 

「そこに直れェェェ!!」

 

 怒鳴り声が聞こえたと同時に知らない人8人と理事長が一瞬で一列に並んで正座した。何で理事長まで?

 

「「「すみませんでした〜〜〜〜!!!」」」

 

「お前らいつもいつも言ってんだろうが! やんちゃは程々にしろよ!! 確かに、多少のやんちゃお転婆は私が尻拭いしてやるとは言ったがな。普段の生活はちゃんとしろって言ったよな?! あ?!」

 

「ひぃぃーー!!!」

 

「お前ら今年で幾つだ?! 五百は超えてんだろうが! なんで、15年しか生きてねぇガキの方が大人びてんだ? あ? 変わってなくて安心したが、変わってほしかったところが変わってねぇじゃねぇか!!」

 

「すみませーーーん!!!!」

 

「24時間正座の刑にしてやろうか?!」

 

 地味にそれはきついやつ。30分で俺はギブアップする自信ある。

 

「「うわぁぁんーー! それだけは勘弁してぇぇぇーーー!!!」」

 

「反省しろ! ったく、いっつもいっつも……あれ、エレナ? 何であなたまで正座してるの?」

 

「いや、反射で……」

 

「姉さんに怒られたぁ……」

 

「何で僕まで……」 

 

「俺、ちゃんと大人しく入ってきたつもりなんだけどねぇ……」 

 

「それを言うなら私もだ。」 

 

「何か言った?」

 

「「「「何でもありません!!」」」」

 

「はぁ……いい大人が、子供の前ではしゃぐなんて恥ずかしいと思いなさいな……」

 

 呆れた顔で首を振っていたが、一通り元に戻った気がする。それをみて、クラスメイトが若干調子を取り戻した。

 

「絵面やばい。」

 

「ダメな大人を叱る子供っぽい。」

 

「実際見た目はそうじゃない?」

 

「確かに。」

 

「はいはい、貴方たち。このダメな大人のバカどもはほっといて。」

 

「いや、グレナ? ちょっと説明して欲しいんだけど……」

 

「このおばかちゃんたちの紹介?」 

 

「できればして欲しい。」

 

「全員十傑。これでOK?」

 

 ……………

 

「えええぇぇぇぇ、じ、十傑ぅぅぅ?!!」

 

「左から順に、バカ1号、2号、3号、4、5、6、7、8。」

 

「隊長! 流石にそれはひでぇぞ!」

 

「数字……」

 

「仕方ないわねぇ。

 左から、

 <<魔弾マジック・バレット>>のガスティー・トール、

 <<城壁ランパード>>のニーアルナ・ミスティ、

 <<人形操術師ドール・マスター>>のヒーデリック・ローアリー、

 <<浮遊師フォールン>>のチドルフ・ソウマーリ、

 <<暗黒滅魔法師ダークネス・クインシ>>のスクローマ・アリアロード、

 <<幻妖サイケデリック>>のユリアステ・マリアー、

 <<空間の魔女スペース・ウィッチ>>のミリアリス・フィードル、

 <<魔法破壊者デストロイ>>のキリスタン・カリアンテよ。あとは、みんなも知ってる、守護者ガーディアンのエレナーデ・ルシエンかな。」 

 

「一応、こんなんでも全員十傑だから……強そうに見えないだろうけど、一応、強いよ〜。」

 

「一応を2回言われたぁ……」 

 

「なんで僕って暗黒滅魔法師って呼ばれたんだろうね? どう考えても、隊長の鬼神の軍曹デーモン・サージェントの方がカッコい、あいた!! 何するの隊長!!」 

 

「余計なこと言ってんじゃないわよ?」

 

「すみませんでしたぁー!」

 

「全く……ルイさんの二つ名は禁句なのを忘れたのか?」

 

「でも、前なら絞め技をされたけど、今日は魔力が飛んで……」

 

「スクー?」

 

 一瞬にしてスクローマさんの後ろに回り込むと、腕を上に持ち上げて首を締め出した。かなりきつい締め技をされていると思う。

 

「ごめんなさいごめんなさい! 絞めないでぇ!!」 

 

「バカめ……」

 

 苦しそうに呻き声をあげているスクローマがグレナの腕をたたいてギブアップの合図を送って、やっと手を離した。

 

「グレナって意外とスパルタだったんだね?」

 

「まぁねー。若気の至りってやつよ。」

 

「みたところ、今でも十分若そうだよ?」

 

「そう言ってくれるのは嬉しいけ、ど……ちょっとヒーデ? 何してるの?」

 

 トテトテという効果音が鳴りそうに歩いてきたのはヒーデリックだった。俺の前まで来ると、顔をじーっとみられた。

 

「この子の顔、ものすごくあいつらの顔に似てる……」

 

 あいつら? もしかして、当時の王族の話か?

 

「そりゃそうでしょ。その子、シドニス第五王子殿下だからね。」 

 

 グレナが俺の正体を明かした途端、殺気が飛んできた。背筋が殺すような殺気に、冷や汗が止まらない。覚悟はしてたけど、さすが、世界最高峰にいる魔術師たちだ。だけど、倒れるわけにはいかない。唇を噛んで耐えていると、重圧が緩くなった。いや、遮られたんだ。

 

「やめなさい。この子は関係ないわ。」

 

「でも、隊長!! こいつは! 、」

 

「だまりなさい!!」

 

「っ、」

 

「ガス、私は言ったはずよ? たとえ、あいつらの国が滅亡せず、あいつら全てが死に絶えても、その時代を生きる民やその民を守っている王族には手を出してならないと。恨んではならないと。今代の王族とあいつらを一緒にすることはゆるさないと。別にあいつらを憎むのをやめろとは言わない。でも、血筋を嫌悪して、その人物を見ないのは愚か者のすることよ。それに、血筋だけで嫌悪するなら私とエレナもあのクソ王族と同じ血が流れてるわ。違う?」

 

「いいえ、違いません。」

 

「なら、シドニスに敵意は向けないと誓いなさい。」

 

「隊長に害を為した場合は容赦なく殲滅します。」

 

「わかったわ。それでいい。」

 

「おいおい、簡単に約束していいんですかい?」

 

「いいわよ? 私はシドニスを信じてるもの。」

 

 俺がグレナに危害を加えることは永遠と来ないから別にいいけど、まさかそこまで信用されていたのはね。全幅の信頼を寄せる相手に信頼を返されるのは、これほど嬉しいものなのか。

 涙目になりそうだったけど、ここで泣くのはダサいと思い堪えていると、十傑たちがお互いの顔を見合わせて頷いた。何か視線で会話をしているが、俺たちにはわからない。そして、その視線は俺を向いた。さっきのような雰囲気はない。不思議に思っていると、一斉に頭を下げられた。

 

「申し訳なかった。今代のアメリア王国の第五王子シドニス殿下。どうにも俺らは隊長のことになると頭に血が昇りやすくなっちまう。」

 

「いえあなた方にした仕打ちを考えれば当然だと思います。だから、頭を上げてください。何も無くしたことがない私が言うのも説得力はありませんが、私があなた方の立場になったとして冷静でいられるのかはわかりませんし。」

 

 そういうと、8人は顔を上げて、またお互いに顔を見合わせた。

 

「やけに素直だな。本当にあいつらの子孫か?」

 

「え、そう、だと思いますが……」

 

 俺は機密情報に分類されるような家系図、それもグレナたちが生まれたような時代のものは見る権限を持っていない。父、つまり今代の王から話を聞かされるぐらいしか知らない。血筋が変わったとか、そんなのがあっても俺が知る機会は訪れないだろう。

 

「ま、いいか。けど、どんなやつであろうと、俺らの隊長に危害を加えたら、国だろうと滅ぼ、「バカなこと言ってんじゃないよ!」いってぇー!! 何するんすか隊長!」

 

「あのねぇ! ついさっきも言ったでしょ?! 関係ない民を見殺しにするなって!」

 

「へいへーい。」

 

「全く、もう。この子達は……」

 

 一瞬張り詰めた空気を遮ったグレナ。十傑をこの子たち扱いをするグレナの方が本当にすごい……

 

「ま、ルイさんが惚れた男なら、俺たちが何言ったところで無駄だろー?」

 

 あくびをしながら言ったユリアステの言葉に、俺とグレナが目を剥いた。

 

「「は?」」

 

「「「「え?」」」」

 

「ユリアス、いまなんて?」

 

「ルイさんが惚れた男なら、俺たちが何言っても無駄だろ、だったか?」

 

「ちょっとおまちなさい! ユリアス!」

 

 理事長の焦ったような静止の声は聞こえてないかのようにグレナが続きを促した。

 

「なんで、私がシドニスに惚れてる、と?」

 

「ルイさん、愛おしそうな目でシドニスのこと見てるじゃないの。俺たちとはまた別の視線でさぁ、、、、あれ?」

 

 みるみる顔を赤くさせたグレナをみて、やっとことの重大さに気づいたようだ。俺も気づいた。多少は脈アリなのかもって思ってるけど、一応教師と生徒という立場だから、バレたくなかったはずだ。

 

「もしかして、無自覚?」

 

「ユリアスのおバカ!!! せめて殿下が学園を卒業してからにしなさいな!!」

 

「いや、そんな事情俺はしらねぇって……」

 

「ほらご覧なさいな! お姉様が固まってますわ!」

 

「あー、なんか、すまん。」

 

「すまんで済みましたら近衛兵なんて要らないんですわよ!!」

 

「ごめんってばー、エレナさん。わざとじゃないんだよー。」

 

 理事長がユリアステの胸元を掴んで思いっきり前後に揺さぶってる間、グレナは岩のように固まってしまった。

 

「おーい、グレナ? 大丈夫?」

 

「はっ、いえ、心配はありませんわ。お戯れを……」

 

「何言ってんの?」 

 

「ごほん、何でもない。」

 

 明らかに動揺しておかしなこと言ってたけど、咳払いして少しは調子を取り戻したようだ。

 

「さて、ユリアスは後で締め上げるとして、

 

 完全に話を逸らしたな? まぁ良いけど。「えぇ?!」っと抗議の声を上げるユリアステの声は無視して続けられた。

 

「みんなには後で私の封印を解いてもらう準備をお願いしたいのと、そして、ここからがみんなを呼んだ目的よ。」

 

 その瞬間、十傑の8人が今までのはおふざけだった(実際そうだったのかもしれないけど)とでも言うかのように、緊張感が漂った。近衛兵たちの作戦会議よりも張り詰めた空気に、本当にこの人たちは最高戦力の軍人だったのだと、実感させられた。

 

「そんなに張り詰めないで。みんなが怯えるわ。」

 

「あ、すまねぇ。つい前のくせで。」

 

「でも、ルイ姉さんが私たち全員を緊急で呼び出しておいて、まったりお茶を楽しみましょうってお誘いなわけはありませんよね?」

 

「もちろんよ、ニーナ。あなたたちを呼んだ理由は、御使の聖痕が出たことよ。」

 

「「「はぁ?!」」」

 

「御使って、あの聖痕ですよね?」

 

「チドの想像してるものと同じよ。」

 

「わたくしも初耳ですわ?! あ、だから昨日ペガサスたちがいらしたのですね?」

 

「ごめんね、エレナ。言い忘れてた。」

 

「まぁ、今言っていただいたので大丈夫ですわ。」

 

「一ついいですか?」

 

 その時、キリスタンが手を挙げて発言の許可を求めた。

 

「キリス? どうかした?」

 

「確か、魔物の活性化が始まったのは一年くらい前だったと記憶していますが?」

 

「えぇ、キリスの言う通り、それで間違いありませんの。」

 

「御使の聖痕を施せるのは魔族だけだったと記憶しているのですが……?」

 

「そうね。わたくしもお姉様もその記憶通りですわ。」 

 

「では、もうすでに魔族が出現している、と言うことですか?」

 

「もしかしたら、そうかもしれないってだけよ。だから、あなたたちの意見も聞きたいの。」

 

「なるほど。把握いたしました。」

 

 納得したような顔をしてキリスタンは頭を下げて下がった。そのタイミングでアリサが疑問を口にした。

 

「あのー、申し訳ないんですが、御使の聖痕? について伺っても? 昨日グレナ先生も言っていましたが、私たちには何のことだかさっぱりわからなくて……」

 

「シドニス。あなた、どこまで知ってる?」

 

「俺たち王族に伝わる伝承があって、その伝承には『怒り狂った山羊と剣を掲げる紋章、御使の聖痕を刻まれし者の言葉に惑わされるな。惑わされたら最後、国が滅ぶ。』と言われてるよ。けど、昨日の男たちをみた感じ、条件が揃わないと聖痕は見えないように思えたけど。」

 

「厄介なことにその伝承も間違ってはいないのよねぇ……」

 

「?」 

 

「御使の聖痕とは魔族が刻むことができる紋章のことよ。」

 

「?!」

 

「昨日の男たちは、隣国オーレン王国の差金と言ってたみたいだけど裏にいる黒幕は魔族、もしくはそれに連なる者よ。」

 

 全員に緊張感が走った。

 

「魔族に連なる?」

 

「魔族か、もしくはその仲間よ。方法さえわかれば十傑はもちろん、第五階梯くらいの魔術師でもできる簡単なものよ。方法さえわかれば、ね。」

 

「御使の聖痕の刻み方はどうでも良いのです。重要なのは、オーレン王国に魔族かその仲間が手を伸ばしているということでしょう。最悪、この国にも。」

 

「ちょっと待ってください! 聖痕は見えないんじゃないんですか? どうやって騙されないようにするんですか?」

 

「探すのは簡単よ。ミリア、キリス」

 

 グレナがミリアリスとキリスタンに声をかけるとすぐに返事をして、ミリアリスは地面に握り拳を打ちつけ、キリスタンはミリアリスに右手のひらを向けた。

 すると、この訓練場全てを囲むようにして魔法陣が浮かび上がり、俺たちを照らした。だけど、誰も変化は起きなかった。

 

「今、ミリアに光魔法、乙女の浄化ピュア・メイデンを使ってもらったの。これは魔族を浄化、つまり消滅させる魔法で、御使の聖痕を持つものは痛みで苦しみ出すの。ただの人には小さい傷の治癒、体力の回復程度しか効果はないわ。私たち十傑全て含めてこの浄化の対象になってもらったの。みんなにも、二人には悪いことをしたわね。」

 

「全然ですよ!」

 

「手っ取り早く信じてもらう方法があるなら、それを試すまでです。」

 

 下手したら疑われたと思うような行為ではあるが、逆を言えば信じているからこそ、躊躇いもなく魔法を行使できるのかもしれない。向けられて疑いが晴れるなら、喜んで受け入れますという覚悟が見えた。

 

「ありがとう。そう言ってくれると助かるわ。さて、あなたたちにお願いがあるの。」

 

「我らが尊敬するグレナ先生からの頼みとあらば、全力で答える所存です。ですよね、殿下?」

 

「俺のセリフ、先に言わないでよ。」

 

「早い者勝ちです。殿下と種類は違いますが、僕たちだって先生が好きですからね。」

 

「そうですわ! 甘いもの大好き同盟を組んでいる私にはなんでも言ってくださいな! 殿下より先生が好きだと証明してみせます!」

 

「ちょっと、聞き捨てならないね?」

 

「負けませんわ!」

 

「あはは、ありがとう、みんな。それじゃあ、クラスのみんなには、私たちと同じくらい強くなってもらうわ。」

 

「「「「「はい?」」」」」

 

「私たちと同等の魔術師になってもらいたいの。じゃないと世界が滅んじゃうもの。」

 

「私たちって、十傑の魔術師?」

 

「そうよ?」

 

「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇ?!!」」」」」

 

 その日。第二訓練場から大勢の絶叫が聞こえてきたそうだ。

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