第23話
社員は番号で管理されており、二桁台の案内人はその経験に応じて契約料も高価だ。無論、それだけ安全が確保されるということでもあるので、生きて入出都したい人間は二桁、それもなるべく若い番号の案内人と契約する。
フィニスも漏れなくそうであった。欲を言えば二桁でも十番台が良かったのだが、修学旅行費として支給される金額との折り合いがつかなかった。とはいえ、三十番台でも八層までは問題なく案内可能であるため、旅程と比較すれば随分用心深いといえる。
「あれ? お前ら何してんの?」
「フェア様!?」
「フェア様こそいかがされましたか……?」
「え~……と、そのぉ~……」
と、フィニスの耳に入った声。若い男性、と、思われる。潜んでいたらしい男二人、女一人は表に出てきたらしく、その声には困惑と怯えが滲んでいる。
「オレ? 何か目障りなのがいたから潰してきたとこだけど」
「げっ、そいつ……!!」
「まさか
「まずいって~!!」
どさ、と何か重たいものが落ちた音。隣から動揺の気配。どうやら応援にこようとしていた
「だって、オレの前に出たんだぜ? 殺すしかないだろ?」
「あーあー大問題……!!」
「これは団長に報告すべきでは?」
「でもさ~……フェア様が……」
団長、という言葉にフィニスは思い至る。
『偏執曲芸団との遭遇
これより先は御客様の安全のみを考えて行動
指示を聞かなかった場合の負傷及び死亡は補償対象外』
三十三番が示した帳面の文字列も、何ら過剰ではない。それだけ
流石に彼等との交戦は分が悪いと思ったのか、大人しくなった彼女に視線を向けたフィニスは、そこで違和感を覚えた。音が、近づいてくる。真っ直ぐに、こちらに。何が、と思う間もなかった。
「かくれんぼぉ? へったくそぉ!」
げらげら、哄笑。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます