第21話
フィニスの友人である彼女は、そんな
フィニスは、彼女の考えの一部を肯定し、一部を否定している。殺されることは確かに悔しいし悲しいだろう、しかしてだからといって戦闘官を目指すかといわれれば否だ。だって神はいつだって話し合いによる解決を望まれているのだから。
「今日はぁ、これから四層の近くまで行ってぇ……それから三層で晩ご飯を食べてぇ、二層の宿屋に行くってことでぇ」
「はい、よろしくお願いします」
案内人である三十三番の言葉に、軽く頷き同意を示すフィニス。三十三番は、にこにこと笑ったまま歩き出す。
「えーとぉ、旅程見たら随分調べてる感じだったけどぉ、まぁ僕らも御商売だからねぇ。四層に着くまでにざーっくり、
三人が問題なく自分の後を歩いてきていることを確かめてから、三十三番はそう告げた。人通りの多い通路を避けて、なるべく灯りの点いているーー今日の時点で、誰かが先に通過した形跡のある通路を選んで進んでいく。
「まずは表層! 他都市からの入都はここにある門からしかできませぇん、君らは
何せ、できたばかりの通路には
「で、一層は何もない……いやぁ、あるといえばあるけど、主要な場所ではないって感じぃ?
曲がり角の前で立ち止まり、顔を覆う帯に手をかける三十三番。きぃん、と響いた音にフィニスが気づいたのは、彼女が歌唱士であるからで。何の音だろう、と口にする前に、三十三番が言葉を続ける。
「二層は、今夜の宿がある場所でぇ、
三十三番が、ぴたり、立ち止まり目前の橋を指差す。こっちこっち、と誘われて覗き込んだ濁流は、呑まれたらとはあまり考えたくはない深さと速さだった。
「ここを渡ったら三層だけどぉ……ここまではまぁゆるっとしてても大丈夫だけどぉ、一応君らも気を付けてねぇ?」
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