第18話
マオマオは、
だから、マオマオは
しかして、マオマオは受刑者なので、彼の采配に従うしかない。マオマオが所属していた
「っ……!!」
そうして送られたのは強襲部隊、殺人すら犯す凶悪犯と直接対峙する戦闘系部隊。ここでマオマオに求められているのは、後衛の歌唱士たちを守る肉の盾となることだ。交差した両腕、肉を断ち骨を半ばまで砕いた長刀。マオマオは
長刀を食い込ませたまま再生する骨肉。激痛に顔をしかめつつもマオマオは退かない、退けない。自分がここで逃げ出せば後衛の歌唱士たちが殺される。そうなれば総崩れだ。
「うー……にゃー!!」
ぼっ、とマオマオの全身から炎が噴き出す。それは長刀を手を手離すのが遅れた敵を焼く。反射的に顔を庇って、それからのたうち回る相手を蹴り飛ばし、マオマオは鋭く息を吐いた。
猫には九つの命があると言われているように、猫に変異する輪廻士は耐久性が高い。それは尋常でない回復力や、驚嘆すべき持久力などに表れる。マオマオは前者であり、
「撤退!! 撤退!! 二等が死んでたら巻き返せないにゃ!! てったーい、にゃー!!」
まだ息が残っていたかもしれないが、マオマオは敢えて、前線にいた二等官が死んだと断言した。そもそもこうして後衛の間際まで敵が圧してきている時点で、敗走は確定なのだ。後からねちねちと嫌みを言われるかもしれないが、誰だって死にたくはない。
それに、マオマオはここにいる三等官たちの生命線だ。マオマオが倒れたなら、それこそ拷問された挙げ句の皆殺しになるだろう。
「さっさと逃げてくれないと、アタシが死んじゃうにゃー! この人殺しー!」
それでも悩み、ぐずついている三等官に向かって叫ぶマオマオ。人殺し、と呼ばれて始めて逃亡に移った三等官たちを横目に、最後の仕上げとマオマオは己を奮い立たせた。
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