第14話
ウルは、元犯罪者であり刑務として
ウルは、目立つことが好きだった。いつだってどこでだって注目を浴びていたかった。そんなウルの望みに、
「ただいまー」
「おかえりなさい」
「オレがいない間に何かあった?」
「隊長が気にすべきことは何もありませんでした」
故に、ウルは隊長格にも関わらず割と自由に行動している。ミネットに任せておけば万事安心であると、心から信じているのだ。そんな信頼を寄せられたミネットもまた、期待に応えようと十全を尽くすため、成り立っている関係だ。
「それならいいや。一応免状内で殺ったけど後で確認して、もしまずかったら教えて。それと再申請もお願い」
「わかりました、後始末は清掃部隊が?」
「ん、オレと入れ替わりで来てたから多分そう」
「確認して処理しておきます」
ちゃり、と軽い音を立てて外された認識票の、魔石の色は失われている。通称を殺人免状というその制度は、
「はー疲れたぁ、めちゃくちゃ大声出しちゃった」
「のど飴と蜂蜜湯、どちらがいいですか?」
「んー……じゃあのど飴もらおっかな」
ミネットが取り出した可愛らしい硝子瓶の中には、淡い色合いの飴が詰まっている。どうぞ、と差し出されたその中から薄荷色の飴を取り出したウルは、迷うこともなく口に放り込む。
歌唱魔術の行使により傷んだ喉に染み渡る薬効。甘過ぎず爽やかな味のする飴を口の中で転がしつつ、ウルはミネットの対面に座った。
「相変わらずんまいね、普通のはやばい味らしいけど」
「効果と味をぎりぎりで調整してますので」
「これくらいだったらおいしいでいいと思うけど」
「もっと甘くしてほしいと言われてますね」
「えー、オレはこの味がいいけどなー」
「ありがとうございます」
にこ、と嬉しそうに微笑んだミネットは、自作ののど飴を詰めた瓶を元の場所に戻しにいく。その足取りがうきうきと軽くなっているのを見て、ウルもまた機嫌良く目を細めた。
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