第8話
大食堂とはイーツ=クッカー一等補助官が率いる給養部隊の本拠地であり、
そんな場所が何故、第一棟にあるかというと、
だから、大食堂には外部の人間が頻繁に出入りしている。だから、こんなことも頻発するのだ。
「わぁ……」
懲罰房でお腹を空かせているシュガリに言いつけられたおつかいのため、大食堂を訪れたトルネは、馬鹿みたいに口を開けてそれだけを漏らした。現状に対する感想など、それくらいしか出せなかったから。
そのため、新参者は勘違いする。古参の犯罪組織は日和っているからそうしないのだと。だから、新参者かつ調子に乗っている者たちは、誰でも入れる大食堂で事件を起こす。
「え? 参加しなきゃ駄目ぇ? やだよぉ?」
トルネはそうぼやきつつ、進化促進薬の入った注射器を弄んだ。目の前で起きているのは大乱闘。どこぞの犯罪組織の面々と、給養部隊員の争いである。給養部隊は後方支援、補助官の多い部隊として有名だが、このような場合に備えて一定数の戦闘官が在籍していた。
「えー……でも終わんないとおやつもらえないよな……」
どうやらこれは始まって間もないらしく、まだ血飛沫でさえ飛んでいない。敵方の人数は軽く見積もって二十人程、戦闘力としては今日の給養部隊たちには少し手に余る程度か。ある程度長引けば、給養部隊の隊長である最終兵器がお出ましになるだろうけれど、それまでシュガリが大人しく待っていてくれるかといわれると首を傾げるしかない。
「仕方ないなぁ……あー、給養の三等官のみなさーん!! 遊撃の「黒鮫」が通りまーす!! お客さんたちを避難させてくださーい!!」
刹那、トルネの同僚ともいえる
「あーあ……うーん、殺したら懲罰房、殺したら懲罰房……覚えてられたらいいなー……」
ぼこぼこと、肉体が変異する。
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