本屋に置かれた本達の幸せ

とりあえず 鳴

第1話

 本屋。そこには多種多様な本が置かれている。


 漫画、小説、参考書、etc……。


 漫画だけでもジャンル分けでラブコメ、ファンタジー、ホラー、etc……。


 そんな本達を見ていると思う。


(みんなは本に生まれて幸せなのかな?)


 だからみんなに聞いてみることにした。動けないけど意思疎通ぐらいなら出来るから。


「漫画さん」


「何か?」


 まずは漫画さんに話しかけてみた。


 漫画さんは種類も多くて、色んな人に触られることが多い。そんな漫画さんはいつもどう思っているのか。


「漫画さんは本に生まれて幸せ?」


「それは買った人間によるかな。一回読んだらもう読まないで埃を被せられるのは嫌だし、何度も何度も読んで理解を深めようとされるのは嬉しいよ」


「なるほどなるほど」


「幸せかどうかの答えは、買った相手によるって答えでいいか?」


「うん、ありがとう」


 いい話が聞けた。やっぱり持ち主がどうするかなのかな?


「参考書さん」


「何ですか?」


 今度は参考書さんに声をかける。


「参考書さんは本に生まれて幸せ?」


「難しい質問ですな。さっき漫画さんに話しかけてるのが聞こえましたけど、参考書というのは必要としている人しか基本は買わないものですから、基本的には幸せなんでしょうな」


「基本的には?」


「大事な所にマークを入れたり線を引いたりするでしょ、あれがどうも慣れなくて。でもそれは正しい使い方なのでいいんです。でも落書きされると少し悲しいですな」


「なるほどなるほど」


「こんな答えでいいですかな?」


「うん、ありがとう」


 結局本の幸せは買った人によるってことなのが分かった。


 何回も読んでもらってボロボロになって捨てられるなら別にいいけど、一回読んだだけで本棚に仕舞われて他の本に押しつぶされ、埃を被って放置されるのは嫌だ。


 この本の持ち主になる人はどんな人なのかなと、予約されて明日買われるこの本は自分の持ち主に思いを馳せる。

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