Episode4 協力者
ダダダ、ダダ、ダダダダ。
スライム弾の威力が更に増す。
「ダメだ! もう抑えてられない! 狸! 取り敢えず手伝ってくれ!」
「わかった」
狸は大男の姿に変化した。大男の姿になっても、相変わらずのアホ面。
こいつ大丈夫か?
狸が扉に手をかける。
「ふんぬっ!」
押し返されていた扉が徐々に戻る。
「やるじゃん!」
「いえいえ、こんなもんじゃありません!」
狸は両腕の筋肉に力を入れた。筋が浮き立つ。
「はぁぁぁー!」
扉がバタン!と閉まった。
「おしっ! おしっ! いいぞ! 本当最高だよ、お前!」
「ふっ、まあこれくらい・・・」
狸は尻尾をクルクルと回す。嬉しんだな・・・。
「後はどうやって逃げるか・・・」
狸がいれば、イケそうな気はするんだけど。
ちょっと可哀想かな・・・。
「何か作戦でもあるんですか?」
「ん、あぁ」
狸は尻尾を大きく回す。
「自分に任してください!」
アホ面の鼻の穴が膨らむ。やりたそうだなー。まぁ、じゃ・・・いいか。
「お前、何でも化けられるのか?」
「はい、自分が見た者であれば」
「そうか・・・。えーと、ここら辺の庭は、人間の住んでいる小屋が沢山あるんだ。その中に空いている小屋もあった」
地下牢からこの城までの庭。
通路を挟んで並ぶ、沢山の小屋。
「あ! そういえば来る時ありましたね!」
「そう! 俺はその人間に成りすます。そして、お前は俺に成りすまして、爺さん達の注意を惹きつけてくれ」
「わかりましたっ!」
目を輝かせる狸。
まぁ、要するに囮なんだけど・・・。
なんか喜んでるし、いいか。
「じゃー俺が出てから30秒経ったら、扉から逃げてね」
「お任せください!」
やっぱ悪いかなー。まぁ、もう今更か。
「行くよ。さん、に、いち・・・」
狸が俺に化ける。俺に化けてもアホ面だ。
「ゴー!」
俺は一目散に小屋へ向かって走り出した。
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