Episode2 ファーストキス


「うぅ・・・」

薄暗い地下牢で俺は目覚めた。



「へっくしょん! ズズッ・・・」

空気がじっとりしていて、寒い。

隙間風が俺の肌を刺激する。



「あー、あー、あー、」

声も戻っている。


身体にまとわりついていたスライムは、今は手首と足首にまとわりいていて、固まっている。手足を動かそうとしてもほどけない・・・。

俺は、捕縛されていた。



小鬼がやって来て、地下牢の鍵を開けた。

「Gjd#d#ETdpA_tNG」

言葉がわからない。

小鬼は首をかしげ、再び何か言ったが、やっぱり意味不明。

「わかんねーよ」

小鬼は理解したのか、手をくぃくぃっとして、手招きした。

「来いって事?」

立ちあがろうとすると、足のスライムが剥がれた。

剥がれたスライムは身体をブルブルさせ、スィスィーと壁の隙間に入り、どこかへ行ってしまった。

スライムって、シーブリーズでも入ってんの?

それくらい剥がれた所がスースーする。



牢を出て、小鬼の後ろを付いて歩いた。

薄暗く、小鬼の持っている松明の灯りが頼りだ。

他の牢には、目の潰れた牛の頭をした蜘蛛や、ボロボロの衣を身に付けた鬼、狸の顔をした人間。皆、俺を恨めしそうに見て来た。

狸の顔をした人間(狸人間)が牢屋の鉄格子に寄ってきた。クンクンと、鼻をひくつかせる。


なんだか、アホそうな狸だなぁ。



地下牢の出口の階段を登り、ようやく外へと出る。



「人間がいる・・・」


塀で囲われた庭の小屋に人間が1人ずつ入っていた。小屋と小屋は塀仕切られていて、顔を合わせる事のないよう作られていた。


小屋と小屋の間の通路を小鬼と俺は進んだ。

人間はよく見るとボロボロの衣服を着ていて、風呂も何日も入ってなさそうな感じだ。

皆、桶に入った糞尿を用水路のような所に流している。


俺も、ああなるのか・・・。

どす暗いもやがかかったような気持ちになっていく・・・。



石造の建物の扉の前に到着した。


「m(tceT"izgbpeg,@agcGd#」

小鬼が何か言うと、扉が空いた。


扉の中に入ると、沢山のお爺さんが円形の陣を囲んで待っていた。

「E(jp(jakdjm(tceT"_a」

お爺さんが小鬼に指示を出したのか、俺はその陣の真ん中に置かれ、座らされた。


お爺さんの一人が陣の中に入る。

「hawjpg"ahwm」

小鬼が小瓶に入った茶色の液体をお爺さんに渡した。



茶色って、なんか嫌な予感が…。

お爺さんが蓋を開けるとほのかなアンモニア臭。


やっぱり…。


お爺さんはそれを口に含んだ。


「うえっ! 気持ち悪っ!」

やべ・・・思わず口に出ちゃったよ。


お爺さんがこちらを見る。

更に嫌な予感が・・・。。


「嫌だー! やめてー! 無理無理無理無理! 本当に無理! それだけは、本当に勘弁して!」

お爺さん達がスライムで俺を固定する。



「嫌ぁぁあぁぁあぁぁぁ!」




むっちゅー。

「#”!$#%#&$%&’’&$’%”!?」


爺さんに唇を奪われた。

しかも、コイツ! 舌を絡めてきやがる!

爺さんの口に含んだ液体が流れてくる。



俺、泣きそう・・・。


絶望だ・・・。

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