第44話 らいかんさんと『桜』の長ぱんちゃん。

アナリーさんが、人身御供となっているあの場所から1時間のところ。

森の木陰となる素敵な環境の下に、この動物の世界を統べる長がいます。


この世界の長、桜パンダとは旧知の仲のわたし。

久しぶりなので、楽しみですね♪


 ◇


「ぱんちゃん。き・た・よ!!」

「ぬ~ん。この声は、らいかんさんぱんだ?」


「そうですよ~はいこれ、ぱんちゃんにお土産です。」

「こ……!これは~! 虹色茸と、その媒体となる虹色竹ぱんだ?! じゃあ。」 


「はい。あなた達の聖地エルフの村に行ってきました。 実はですね……。」


 ◇


わたしは、王国の事情をぱんちゃんに話します。


大精霊ちゃんのお茶目さんで、あぁ↓い~↑なこと。

『桜の傘』が、このままではピンチとなり、周辺各国が知ってしまうと、世界情勢が不安定になってしまう懸念。

その危機を打開すべく、救世主として んこう臨 された、ん神アナリーが、大精霊ちゃんの祝福を授かっていることに気が付き、この公園に来ていること。


( ゚д゚)、ペッ


ただ、ん神は不治の病気を患っていて、それをコントロールするために、ここにいる二人を大精霊ちゃんのところに連れていき、カクヨムでは書けないような破廉恥な大精霊ちゃんの秘密をネタにして強請り、『桜』の加護を付けてもらったこと。


そんな二人が活躍する前に、あっちの方で『桜』アニマルの集団に見つかり、ん神はぺろぺろされている真っ只中であることを伝えます。


 ◇


「――っと言う訳なのですよ。」

 

「ぬ~ん。それは大変ぱんだ。国王とは指切りをして、お互いの権利関係の確保を約束した間柄ぱんだ。協力したいぱんだ。でも、掟は掟。」


「そこは、当然の弱肉強食でいいと思いますよ。この時期だけは、王国の彼らが有利。その機会を与えられる『桜』の季節。 王国側はそれだけで十分なはずです。」


「うん。なら、『花』を咲かして大人しいアニマル達と、正々堂々戦って、負けた方が命を失い、勝った方の糧となる。 それで進めることを改めて認めるぱんだ。」


「こちらとしても、負ければ、あなたたちのご飯でいいですよね? スミッツ。」


「はい。元よりそのつもり。」


「分かったぱんだ。但し、以前に交わしたルールは、しっかりと守るぱんだよ。」


 ◇


ぱんちゃんが、言ったルールとは、次の通りです。

 1.繁殖期でもあるため、番として子育てをしているアニマルは襲わない

 2.子供のアニマルは襲わない

 3.パンダエリア(『桜』パンダのいるこの付近)での戦いは、1対1で行う


まとめると、『桜』猪などは数も多いため、乱獲しない範囲で集団で狩りをしても良い変わりに、パンダエリアにいる「戦士達」については、『桜』の加護を受けた冒険者が、その実力を持って1対1で戦い「お互いを狩り合う」のです。


ですが、今年の王国陣営代表は「あぁ↓い~↑」でお話にならないため、彼らには、猪狩りに精を出してもらい、併せて(イラっとしたので)フクロウ狩りもして頂いています。


そのため、代わりに戦うのが、イレギュラーで加護を受けたスミッツです。

それもあって、わたしたちは、ぱんちゃんに筋を通しに来た訳です。



実は、打合せでは、大精霊ちゃんの祝福を受けたアナリーさんが、この責を負う予定だったのですが……。


良いのか悪いのか、『桜』アニマルがアナリーさんにメロメロとなり、アナリー様( ゚д゚)、ペッ を差し出せば、『桜』の花びらを分けて貰えることとなったので、急遽、お肉や素材の確保については、「代役の代役」となるスミッツが、手合わせすることになった感じです。


 ◇


「もちろんですよ。ルールは守ります。そして、当然ですが、お互いの繁栄の為にも恨みっこなしです。」


「……で、なのだけれど、お願いがあるぱんだ。 『桜』クエストが終わったら、僕を国王のローレンハルト君の所へ、連れて行ってくれないかぱんだ?」


……あら、クレープの奴。たった今の思い付いたノープランのアイディアで、そんな話に発展させるつもりですか。

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