第32話 らいかんさん『残念ん子』への好奇心に負ける。
ブロッコリー教授は、まず、仕方がないなので……
アナリーさんに、わたし達のことを説明します。
「らいかんさんと、私とスミッツは……友達だ。」
「はい。」
「うむ。それで、桜アニマルについてなのだが……」
「え?それ…だ…『はぁ?』
「う……それだけ……ですか?」
本当に知りたがりですね。それ以外何を説明すればいいんでしょうか?(イラッ
「アナリーさん。わたし達はマブなのです!親友と書いて『マブ』と古の人がYouTubeで言っていましたもの!それ以上聞くのは野暮ってもんよ!です。」(イライラッ
吐き捨てるようにわたしは言います。
「ふぇえええ……。はい……もういいです。ぐすん。」
あ。黙りましたね。まったく、こんなことに240文字も使わせて!
わたしは、桜アニマルの現状が聞きたいのです!
「すまないらいかんさん。無駄な文字数を使ってしまった。では、桜アニマルについてなのだが、先程も少し話したのだが、加護が降りた冒険者が口ばかりでなぁ……。」
教授が白髪のアフロを、引っ張っては放し、放しては引っ張りと、ゴムのように動かしながら、項垂れます。
これするとき、この人困っているのですよね……。ということは、よっぽど。。
「そいつら、口は達者なのだが、桜猪を倒すのがやっとで、しかも討伐出来ても数が少ないのですよ。それで我々騎士団に、桜ラビットの討伐命令が出たのですが……この有様。」
スミッツも、悔しそうに下を向いて言います。
「ああ。理解しました。それでスミッツが無理をして『あれ』で倒れてしまい、アナリーさんがリファイン草を求めて、わたしのところに来たのですね。」
「うむ。そのことも手紙に書いておいたのだがなぁ。」
「ふぇ?わ……私はそこまで知らなくて……あは…あはは…はぁ。」
「……。」
◇
なるほど……。本当に病気ですね。残念でわたし言葉も出ません。
そう、言葉も出ない程、この人は残念なのですが……。
よく考えてみると、彼女がわたしと出会ってまだ1日半。
んこ茶を飲むところまでは、まったりでしたが、そこからは神がかった展開で、スミッツの回復まで話が進んでいます。
お日柄が「双生月の赤の月が欠けて青の月が無い日」であったこともそうです。
この日は、エルフの村で大精霊ちゃんが「一番大切にしているお告げ」の日。
それ以外の日は、大精霊ちゃんの思い付きであったり、我儘であったりを「お告げ」とか言って、適当に伝えているだけなので無視しておけばいいのですが、この日だけは違うのですよ。
迷いの森さんも入口で「その子を連れて、真っすぐエルフの村に向かってお願い!」って泣きそうでしたし、アナリーさんは「持っている」人なのかもしれませんね。
それに、そもそも……。
『「あれ」を踏む~?あそこで「あれ」を踏む~~~? 思い出してもくっさ~!やっぱり、わたしもえんがちょ!』
作者も、最初は、2回程こいつに心臓突かせたら、後は、魅力的な冒険者でパーティを組ませてしまい、こいつは話から除外よ!
こんなの「ぽいよ!ぽい!ぽい!」って思っていたのに……。
気が付いたら、第32話まで大事なネタキャ(げふんげふん)大切なキャラで生き残っていて、今では、この人が中心にお話が進んでいます。
わたしは、面倒だな……残念だしな……イラっとするんだろうな……嫌だな……。
と思いながらも、この『残念ん子』への好奇心が止まらなくなってきました。
「ねぇ。提案なんだけど、アナリーさんに桜クエストさせたら?この人多分……『持ってる』人ですよ?」
わたしは、好奇心に負け提案をしてしまいます。
でも、好奇心を大切に出来なければ、ただのライカンスロープですからねぇ。
そう!わたし、喋ることができる好奇心旺盛の賢い冒険者で、勇者大好き世界樹セットを持っていて、世界樹てれぽーていしょんが出来るライカンスロープの、らいかんさんですから!
久々の決め台詞ありの回なので、傍点の無駄遣いをしてドヤァ!!
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