第31話 らいかんさんと鼻垂れの親友。
「先生……あの、その。聞きたいことが沢山あるのですが。」
「いや。そんなことより、お前の師匠のことを先に報告しなさい。目覚めただけじゃないだろう?」
「そ……そうでした。師匠が!スミッツ騎士団長が目を覚ましました!それで、先生を呼んできてくれと仰っています。」
「はぁ?スミッツですって?」
「ええ。私の師匠の名前です。」
「教授。それってあの鼻垂れですか?」
「ああ。そうだぞ?なんだ何も知らんかったのか?」
「え?」
教授が、アナリーさんの方を残念そうに再び見ます。
「はぁ……本当に君は。まぁいい。話はスミッツの処に着けば分かるだろ。らいかんさんもすまないが一緒に来てくれんか?」
「当然ですよ。スープ飲ませたいメンバーのひとりですもの。」
「え?それって……。」
「「もう、面倒なので黙っててくれますか?」」
「ふぁい……。」
◇
わたし達は、アナリーさんの師匠でる騎士団長スミッツの処に向かいます。
教授の部屋を出て突き当りの部屋。
個室なので、流石騎士団長ともなると偉いのだなと思ってしまいます。
ちょっと前まで、鼻垂れてましたのに、人の成長には目を見張るものがありますね。
「師匠、アナリーです。先生ともうひとり……。」
「スミッツ!こんな個室で療養なんて偉くなりましたね!」
「え?あぁ!!らいかんさんじゃないですか!ご無沙汰してます。久しぶりに会えたのに、こんな姿で申し訳ない。」
スミッツは起き上がろうとしますが、辛そうです。
わたしは、それを制止して寝ているように伝えます。
わたしは妖精のスープを取り出し、魔法で適温に温めます。
少し薄めようかと思いましたが、匂いと湯気で悟ったようですね。
なんとかの犬のように、目をキラキラ涎タラタラ。鼻垂れ復活。
流石、弟子が弟子なだけ……。はぁ。
「スミッツ!きちゃない!顔を拭きなさい!」
「ふぇ?」
やっぱり……あれの師匠ですね。はぁ。
「妖精のスープなら、フィトケミカルも豊富ですし10大栄養素もばっちりですよ!そこまで熱くしていないので、アナリーさんに飲ませても…自分で飲みなさい!」
騎士団長スミッツは、今まで昏睡していたとは、思えないスピードでスープを飲み終えます。すると、顔の血行が良くなり、見る見る赤みを帯びてきます。
大精霊ちゃんに感謝、妖精に感謝、神に感謝ですよ。スミッツ。
あと、不詳のでしょうけど、この残念な弟子にも。
「ところで、教授にスミッツ。桜アニマルやスミッツの病気について少し教えてくれるかしら?」
「あ……あの、その前に良ければ、皆さんとらいかんさんの関係を教えても……。」
「「「黙ってて貰えますか!」」」
「ふぇえええ……。」
流石、息ぴったりですね!わたしたち。
口を開けば、残念で害しかないアナリーさんを黙らせて、教授がまず桜アニマルについてしゃべり始めました。
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