第23話 らいかんさんと勇者大好き世界樹セットと羽

おはようございます。らいかんです。

結構寝てしまったようです。大精霊ちゃん以外は皆さんまだ寝ていますね。


起きていた大精霊ちゃんに、わたしは聞きます。


 ◇


「おはようございます大精霊ちゃん。少し寝すぎてしまいましたかね?」


「おはようらいかんさん。よく寝てたわね。時間は大丈夫、殆ど進んでいないから。」


「良かったです。あのアナリーさんって方、実はお師匠様がご病気のようで、それで、リファイン草を探しにここまで頑張って来たのですよ。それで時間が気になってしまいました。」


「あら、そうなのね。それはそれは。リファイン草は見つかったの?」


「そこで、右足を挙げて喜んだまま固まっている、結構残念なエルフのおじーちゃんがくれましたので大丈夫です。ありがとね。」


「ところで、らいかんさん。妖精のスープってまだある?」

大精霊ちゃんが少し右斜め上に目線を動かしながら、顔をポリポリ書いて言います。


「ありますよ。」

と、わたしはもう一つの寸胴を取り出し、大精霊ちゃんの前に置きます。


「不仕付けなお願いなのだけど…それを譲ってくれないかしら?実は…。」


大精霊ちゃんは、妖精のスープが必要な理由を語りだします。


どうやら、先ほど頭の中に聞こえてきた声の主の「~っす」と五月蠅かったお馬鹿の女は、地母神様の分体のようで、大精霊ちゃんの上司にあたる人のようです。


こことは違う世界「地球」というところに出張しているようで、そこの神である彼女のお父さんのお使いで、「妖精のスープ」が必要とのこと。


このままでは、大精霊として、エルフの村の人たちに残した、もうひとつの寸胴の中身を、彼女に捧げなければならない…。でも、それは忍びない。

なので、譲ってくれないかっと言うことのようです。


わたしは、「右足を挙げて喜んだまま固まっている、結構残念なエルフのおじーちゃん」を見て考えます。「3歩歩くと忘れる馬シカ…人馬」を思い出します。



―― 取り上げればいいのではないかと。



 ◇


少し無言で考えて過ぎていましたね。

答えを聞けず、大精霊ちゃんがちょっと泣きそうになっています。


そうですね…この大精霊ちゃんのお告げとこの空間のお陰で、わたし達はお腹一杯にこの幸せなスープを食べれたのですからね。仕方がないです。


「大精霊ちゃん。小さな寸胴を持っています?出来ればお土産で食べさせてあげたい方が数名いまして、その分を差し引いたものなら良いですよ。」


「それなら…そこにあるのを使っちゃおう!」

「え?いいのです?」

「いいのいいの♪」


「泥棒になりません?これ…。」


ま…まぁ。後のことは、大精霊ちゃんがあの笑顔でなんとかしてくれるでしょう。


「お礼に、『勇者大好き世界樹セット一式』と、『私の羽』を1枚あげるね。」


「あらやだ。まだ23話なのに、物語終盤の必需品世界樹セット!良いことはするものですね!ありがとうございます!ところで、大精霊ちゃんの羽って一体?」


大精霊の羽は、流石のらいかんさんでも初めて聞くアイテムです。

どきどきしながら、わたしは大精霊ちゃんにそれについて尋ねました。

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