第20話 らいかんさんと虹色のスープ。

「ゆりぞーんドア」を潜ると…。

本来は無人島に繋がり、古民家最強レストランがあるのですが、流石にそれは申し訳ないので、左手が勝手にぱるぷんてを唱えます。


するとどうでしょう。

そこは森の中。


やっぱり「あれ」の香りが…す…ごいです…よ。

もうきっと目と鼻の先。らいかん…とろけそう。。


わたしがその香りで気持ちよくなっていると。



「あ…らいかんさん!あれが大精霊ちゃんが予言していたものじゃない?」


アナリーさんが親指でくいッとしている方を見ると、樹木の隙間から七色に輝く、綺麗な「あれ」が見えるじゃないですか。


「や…やばいわね…わたし達。完全にお話の流れまでオマージュしてますよ!」

「本当ね。こんな見事なオマージュ完全にパクリだわ…。」


それはわかっています。本当にごめんなさいなのです。

ですが、圧巻の光景なのです。何度見てもすごいのです。


山から湧き出ているその「スープ」は、太陽のプリズムで虹色に輝いており、それでいてどこまでも透き通っている…なんとも不思議な「あれ」なのです。


「ひ…久方ぶりの『妖精スープ』じゃああああ!」


ボケ老…村長が曲がった腰をピンと立たせ、疾風の如く源泉に飛んでいきます。

続いて奥様が、ルリちゃん・ルラちゃんも駆け寄ります。


わたしも、数年ぶりです。やばいです。毛が逆立ち過ぎてます。


「あれは一体何なの?らいかんさん。」

「あれは、ここにしか沸かない妖精ちゃん秘伝の自然が生んだ七色のスープ。」


「妖精ちゃん?」

「あ…そうね。アナリーさんクローバーの首飾りを掲げてみて。」


「え?こうかしら。」


アナリーさんが首飾りを掲げます。すると夢見草の朝露を浴びたクローバーに蛍のような淡い光が寄ってきます。


「わ!こ…これ…妖精さん?」


「恥ずかしがりやさんなのですよ!でも妖精ちゃんは夢見草の朝露の香りが大好きで出てきてくれましたね。こんにちはっ。覚えているかしら?お久しぶりです。』


妖精さん達は、らいかんさんの周りをくるくる回り、

覚えているよーとご挨拶をしてくれます。


「あら。嬉しいですね!ご紹介します。この人はアナリーさん。大精霊ちゃんのお告げのご加護がある子なの。宜しければこの「妖精スープ」を分けえもらってもいいですかね?それで…ダメでなければエルフの村の皆の分も。」


妖精さん達は顔を見合わせて、うんうんと首を縦に振ってくれます。


「「ありがとうございます。」」

わたしと、アナリーさんが丁寧にお辞儀をします。


「お礼と言っては何ですが、ちょっとまっててね。」


https…うんたらかんたら…「らいかん魔法 収納スペース とおおお。」


これ、エルフさん達のお土産だったけど、妖精ちゃんにあげていいですよね?

収納スペースから、虹色茸を取り出して妖精さん達に渡します。


わ。すごい。めちゃくちゃ喜んでいます。喜び方が半端ないです。

もう怒り狂ったオオスズメバチのよう。微笑ましいです。


一緒になって怒り狂ったオオスズメバチのように、虹色茸に群がろうとしている「ボケ老人」の頭を手で鷲掴みしながら、わたしは微笑みます。


「あまり長居をしては…色々と悪いわね…。」


アナリーさんが村長を見て吐き捨てます。


わたしは手に持った「これ」を奥様に渡し、収納スペースから大きな寸胴をふたつ取り出して、湧き出ている極上のスープを汲めるだけ汲みます。


 ◇


「それにしても、どんな味がするのかしら。楽しみ♪」


アナリーさんが嬉しそうに言います。


まさか、この人…師匠のこと忘れてるんじゃないですかね。

まぁいいです。帰りますか。


 ◇


帰る間際、アナリーさんは改めて周りを見渡しながら不思議そうに言います。


「でも本当に不思議な森。ここは一体何処なのかしら?」


「ここですか?ここは『異世界』ですよ。美味しい美味しいお食事の世界。素敵な素敵な夢を叶える世界にあるトロン村近くの妖精が住む森です。」



「美味しいお料理と素敵な夢を叶える異世界…なんか素敵ね。」


「ええ。本当に素敵なのですよ。わたし…冒頭でクレープがぱるぷんてしなければ辿りつけた「古民家のレストラン」も何時か行って見たいのですよ。」



「古民家のレストラン?もう、それだけで美味しそうね。」


「エルフの村に伝わる伝説だと、どうやら、その世界の神「ゆりぞう神」の思いが込められた、優しくも暖かい至高の皿が味わえるそうですよ。」


「らいかんさん!何時か一緒に行きましょうよ!」

「ええ。『神の許し』が出れば是非^^^^^^」



妖精さん達に見送られながら…幸せいっぱいな気持ちでわたし達は、虹色に輝く『妖精スープ』を持ってエルフの村に繋がる「ゆりぞーんドア(cv.おおやま)」を潜るのでした。


※ ※ ※ ※


―― 今度こそ次回予告! ――

ついに手に入れた究極・至高の一品!

しかし、困った米はあるけど、「あれ」がない!

どうするらいかんさん!


「次回、実食――(゚∀゚)――!!妖精スープ!」


そして、明かされるゆりぞう神の世界!

 ↓ ここを見て予習しておきなさい。どの料理なのか全部読んで調べることね!

https://kakuyomu.jp/users/yurizou


ゆりぞう先生申し訳ありませんm(_)m

次回も続きます。

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