第12話 らいかんさんクローバーの首飾りを編む

森の入り口の見晴らしの良い場所で、わたしは迷いの森をゆっくり見渡します。

入口手前にはお花畑があり、その中で数十株が点在している夢見草の位置を確認して、今日の森のご機嫌を伺います。


「ふむふむ。そうなのですね。今日は双生月の赤の月が欠けて青の月が無い日ですか。少し困りましたね。」

と、ぶつぶつ言っているわたしを見て、アナリーさんが心配そうに聞いてきます。


「らいかんさん。どうかしたの?困ったと聞こえたのだけど。」


「いえ。問題なくリファイン草は採取出来ると思うのですが、森がですね、エルフの村に行きなさいって言っているのです。そちらに寄っても構いませんか?」


「エルフ…の村?リファイン草が手に入るのなら構わないのだけど、誇り高きエルフが私なんかを受け入れてくれるのかしら…。」


「わたしと行けば大丈夫だと思うのだけれど…そうね。少し待っててください。」


わたしは夢見草の周りに生えているクローバーを摘み、それを編みます。

編んだクローバーをアナリーさんの首に掛け、うなじの辺りで結びます。


「このクローバーは夢見草の花が落とす朝露を沢山吸った子たちなのです。この子たちを編んだ首飾りをして行きましょう。エルフさんにとって夢見草はお守りのようなもの。これを着けておけば歓迎してくれるはずです。」


わたしはそう言いながら、アナリーさんの手を握ります。


そして、

目に見えるものは美しい絵画のようなもの、匂いで真実を辿るのです。

と思考を切り替えます。



くんくん。くんくんくん。ん? くんくんくんくん。


わかりました。この道ですね。

それでは一緒に逝きましょうとわたしはアナリーさんに言い

森の中に足を踏み入れます。





…しかし、アナリーさんの香水。すごく邪魔!!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る