第10話 へんてこなりんごさん3

 へんてこなりんごさんのハイキング。

 そろそろお山を降りましょう。

 降りるときこそ気をつけて。

 転んだら大変。

 ゴロゴロゴロゴロゴロンゴロン。

 へんてこなりんごさんが割れちゃう。


 てくってく、てくってく。

 リズムよく慎重に歩いています。

 その時、へんてこなりんごさんはあれ?と思いました。


「何だか声が聞こえるなぁ」


「おーい! 助けてくれー!」


 キョロキョロ周りを見ても誰もいません。

 どういうことでしょう。

 おばけかな?


「おーい! 下を見て! こっちだよー!」


 そっと下を覗くと、山道から滑り落ちた人がいました。

 まぁ大変!


「助けてー!」


「はーい! ちょっと待ってね!」


 へんてこなりんごさんがムムムムムッと力をいれると頭からピョンと生えた枝がスルスルスルスルと伸びました。

 滑り落ちた人はびーっくり。


「さあしっかり掴まって!」


「わかった!」


 滑り落ちた人はガシッと枝を掴みます。


「よーし!」


 へんてこなりんごさんはまたグググググッと力を入れました。

 すると、伸びた枝がシュルシュルシュルシュルと縮んでいきます。

 滑り落ちた人はどんどん上がってとうとう道まで戻ってきました。


「あー助かった。へんてこなりんごさん、ありがとう !」


「どういたしまして」


 そして、へんてこなりんごさんはストローを頭に突き刺しました。


「さあどうぞ」


 助かった人はびっくりしながら、ちゅちゅーっとりんごジュースを飲みます。


「おいしーい!」


 おしまい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る