第3話 へんてこなちょうちょうさん

 とっても真っ暗な道をランプを持った旅人さんが歩いていました。

 今日は曇り空。

 お月さまもお星さまも見えません。

 まっくらくらくら。


「困ったなぁ。もうすぐ町に着くはずなのにどっちに行ったらいいんだろう」


 旅人さんが分かれ道で立ち止まりました。

 どうしましょう。


 右に行こうかな、左に行こうかな。

 悩んでいると、パタパタパタパタへんてこなちょうちょうさんが翔んできました。


「こんにちは、旅人さん。僕はへんてこなちょうちょうさんだよ」


「こんにちは、へんてこなちょうちょうさん」


 へんてこなちょうちょうさんは旅人さんの肩にとまりました。


「こんなところでどうしたの?」


「町に行きたいんだけど、真っ暗で何にも見えないんだ。へんてこなちょうちょうさんは町の場所を知ってるかな?」


 へんてこなちょうちょうさんはパタパタと羽根を動かして「知らないよ」と言いました。


「でも、手伝ってあげる」


 へんてこなちょうちょうさんは旅人さんの肩から飛び上がって、真っ暗なお空を駆け回ります。


 パタパタパタパタパッタパタ。


 へんてこなちょうちょうさんの鱗粉りんぷんが舞います。


 キラキラキラキラキッラキラ。


 あれ? どうしてでしょう。

 鱗粉が真っ暗なお空に上がっていきます。

 旅人さんはランプを消しました。


 満天の星空。


 辺りがよく見えます。

 遠くに町も見えました。


「ありがとう、へんてこなちょうちょうさん」


 へんてこなちょうちょうさんは「どういたしまして」とお空をくるくると翔びました。


 おしまい。

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