第2話 へんてこなぞうさん

 ここはとっても広い草原。

 遠くには高い山や大きな川が見えます。

 お日さまさんさん、いい天気。

 そこをへんてこなぞうさんがゆっくり歩いていました。


 のっし、のっし、のっし、のっし。


 すると後ろからぴゅーんとチーターさんがやって来ました。


「こんにちは、チーターさん」


「こんにちは、へんてこなぞうさん」


 チーターさんはぞうさんの周りをぐるぐるぐるぐる回ります。


「チーターさんはとっても速いんだね」


 とへんてこなぞうさんが言いました。


「うん、私は誰よりも速いんだ」


 チーターさんが答えると、へんてこなぞうさんは

「でも、僕もとっても速いんだよ」

 と言いました。


「それじゃあ、向こうの川まで競争だ!」


 チーターさんは「よーい、どん!」と言って駆け出しました。

 そのはやいことはやいこと。


 びゅんびゅんびゅんびゅん。


 後ろからへんてこなぞうさんが追いかけます。


 のっし、のっし、どっし、どっし、どっしん、どっしん、どっしーん、どっしーん!


 あれ、へんてこなぞうさんが、どんどん大きくなってる。

 長い鼻で雲を取って食べられそうなくらい。


 どぅっしーん! どぅっしーん!


 一歩一歩がとても大きくて、チーターさんはとうとう抜かされてしまいました。

 へんてこなぞうさんは川に到着すると、しゅるしゅるしゅるしゅると元の大きさに戻ります。


「へんてこなぞうさんはとっても速いんだね!」


 遅れてきたチーターさんが目をキラキラさせて言いました。

 へんてこなぞうさんは嬉しそうに「ふふふ」と笑いました。


 おしまい。

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