へんてこな物語

出井啓

第1話 へんてこなうまさん

 ここはとっても広い草原。

 夕焼けの空。

 遠くには高い山や大きな川が見えます。

 そこをへんてこなうまさんがゆっくり歩いていました。

 パカパカ、パッカパカ、パカパッカ。

 あれっ?

 こんなところにお星様がいるではありませんか。


「あー困った困った」


 お星さんはとっても困っているようです。


「こんにちは、お星さん。こんなところでどうしたの?」


 へんてこなうまさんが話しかけると、お星さんは言いました。


「こんにちは、おうまさん。お空にいたのに、いつの間にかここに落ちてきちゃったんだ」


 へんてこなうまさんはびっくり。


「あら、それはたいへん! お空には帰れないの?」


「うん、帰り方がわからないの」


「じゃあ、僕が連れていってあげる!」


 得意そうに言うへんてこなうまさんにお星さんは困った様子。


「でも、お空はとっても高くて、走っても走っても届かないんだよ?」


「大丈夫大丈夫。さぁ背中に乗って」


 お星さまはへんてこなうまさんの背中に乗ってみました。

 サラサラの毛並みが気持ちいいね。


「さぁ行くよ!」


 へんてこなうまさんはパッカパッカパッカパッカと走り始めました。

 するとどうでしょう。

 どんどん地面が遠ざかっていくではありませんか。


「えっ? どうしてうまさんが飛べるの?」


 お星さまが聞くと、へんてこなうまさんはまた得意そうに答えました。


「僕はへんてこなうまさんだからね」


 へんてこなうまさんの足はとっても早い。

 真っ暗になる頃にはお空に着きました。

 周りのお星さんもチカチカ、ピカピカ嬉しそう。

 お空に帰れて良かったね。


 おしまい。

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