第5話「危機的状況」

突然、ゑ鳴と楜に全員呼び出された。

目を見ると、とても真剣は眼差しをしている。

「あの、落ち着いて聞いてください。」

「このクラスにいた、頴川 沙依えかわ さより さんが死んでいるらしいです。」

《えっ!》

クラスのみんなが驚きの声になった。

「えっと、まだ話しがあります。」

「探しに行った、時里 日美 ときさと ひみさんがこのことを伝えた後、連絡が途絶えました。信じたくありませんが、多分もう……」

「なので皆さん、この学校から脱出しましょう!」

「ここにいては危険です。」

《えっっっ!》

「だって、どうする?桜。」

「……桜?」

「あっ、うんどうしようかな?」

「確かにそんなことが起きたら逃げるしかないよね。」

「うんうん、どうしよう……」

「(私もそうだけど、クラスメイトが死んだのに桜は悲しい素振りをしていない。)」

「(それより、何か別のを考えている気がする。)」

すると、廊下から足音が聞こえてきた。

その音はだんだんと近ずいて来ている。

私は何かを感じ、桜の腕を掴んで教室の前に移動した。

それと同時に4 人の女の子が入って来た。

手には銃を持っている。

《えっ!なになに?》

《一体何が……えっ銃!?》

「これはヤバイことになった。」

すると女の子たちの1人が話し始めた。

「脅かさせてすまない。私たちはこの学校の風紀委員的なことをしている人です。」

「あなたたちの行動が危険なため警告をいいに来ました。」

「危険?まぁ、見るからに危険な感じだけど……」

とゑ鳴が答えた。

すると、真ん中にいた女の子が口を開いた。

「はい。そうです。」

「このままでは皆さんを殺さないと行けません。」

「それが嫌なら、最後まで学校生活を続けてください。」

「さぁ、学級委員長さんご判断を。」

するとゑ鳴は、隣にいる楜に指で指示をしている。

それを見て、頷いた。

「判断する前に質問したいのですが……」

「……なんでしょうか?」

「あなたたちは素晴らしい愛を持っているのですね。」

「な、なぜそのようなことを?」

「だって、あなたたちの隣にいる子は彼女なんでしょう?」

「なっ!」

《えっっっ!》

みんなビックリしているようだった。

「(私も以前までは女の子に対しての恋愛感情はなかった。)」

「(だけでここに来て、一気にその気持ちが芽生えた。)」

「(不思議なことじゃない。)」

「(だけど、やっぱりビックリしちゃう。)」

「そ、それがどうしたんですか?」

「聞きたかったの。この学校のことをね。」

「この学校にいる生徒は、自然と同性を異性として認識してしまう。」

「……そうなんでしょ?」

「へぇ、どうしてそう思ったのですか?」

「最初この都市に来た時感じたの。頭の中にある何かが、別のものに起き変わっていく感覚が。」

「そしてこの学校に入った時確信した、女の子を見るとドキドキしてしまう。」

「恋愛対象が変わっていることに。」

「ねぇ、君たちは何がしたいの?」

「……それは、答えることができません。」

「そう……分かったわ。」

すると楜はみんなに問いかけた。

「私は、この謎を明らかにしたい。」

「みんな、こんなことになってごめんね。」

楜は深々とみんなに頭を下げた。

「……楜さんは謝る必要はありませんよ。」

「私も同じです。こんな奴らがいるなんておかしいです。楜さんは悪くありません。」

会田 えださん、添田 そえださん……」

「そうですよ。私は別に恋愛対象が分かったことはいいです。」

「だけど、強制するのは良くないと思います。」

「お姉ちゃんの言う通り!強制は良くない!」

桃作 紗枝 ももさくさえさん、有紗ゆささん」

すると早桜が声を上げた。

「委員長さん、ここにいる子は全員覚悟ができていますよ。」

「……みんな、ありがとう。」

そして、ゑ鳴が楜に近づいた。

「ありがとう……ここからは私が。」

「分かった。絶対に守るから。」

ゑ鳴が銃持った女の子たちに近ずいた。

「何をする気だ。」

「私たちの答えは既に決まっています。」

「楜、こっちに来て。」

「えっ?……うん。」

ゑ鳴は、前を見た状態で楜の腕を掴んで、くるっと後ろを向いてキスをした。

《わぁぁぁ~~》

「な、なにを……しているんだ。」

「なにって、愛を伝え合っているだけよ?」

「ほら、ここにいるのは既にお互いのことが大好きな人だけ。」

「ふふ、他の人を見てみたら?」

「必ず近くにいるでしょ?」

周りを見たら、必ず二人いてこんな状況の中キスをしている人もいる。

「それで、あなたたちはどうなの?」

「……君たちには関係ない。」

「そろそろいいかな。」

すると女の子たちは銃を私たちに向けた。

「そう、やっぱりダメか。」

「仕方ない。……逃げるわよ!」

ゑ鳴は前にいた女の子を足払いした。

「ここは任して!早く脱出するよ!!」

そして私たちは教室から一斉に逃げる。

「痛たた……まさか足払いされるなんて。」

「へっ、私はこう見えて強いからね。」

「(さすがに銃弾は無理なんだけど。)」

「……いいのか、私と楜以外どっかに行ったぞ。」

「別にいいのよ。だいたいの場所は分かるから。」

「先ずは二人を殺してからでも遅くない。」

私は、楜に合図を出した。

「……そう。では私たちも、殺される前に逃げるとしよう。」

そして、私は楜から渡された丸い玉を投げた。

「なっ、なんだ!撃て!」

その瞬間、教室が一瞬で真っ白になった。

「よし!上手くいった、逃げるわよ。」

私は楜の手を握って教室を出た。

「(上手くいくは思っていなかった。)」

「(楜が小麦粉で目くらましを作るなんて。)」

「さて、これからどうしよう?」と言葉を零した。

すると楜は、走るのを止めた。

「楜?走らなくていいの?」

「大丈夫。足音が聞こえないし、何かあったら私が守るから。」

「これからどうするか、焦らずゆっくり考えるしかないね。」

「……ゑ鳴。」

ぎゅっと私を抱きしめてきた楜は、少し涙目になっていた。

「んっ……///////」

何も言わずにキスをしてきた。

伝わてくる、不安や恐怖が唇を通して。

「(キスで伝えられても……でも、この温かさが私は好き。)」

そして、私の舌を絡め、不安や恐怖を上書きしている。

私も楜の舌を絡める。楜のおかげで恐怖はなくなったが、不安は残っている。

この先のことなんて分からない。

今できるのは、彼女を愛し、体を重ね、全てを共有すること。

でもまだ、こんなことをしている場合じゃない。

私は一旦キスをやめて、楜の顔を見た。

「どうしたの?」

「楜、ここから出られたら、私と結婚してください。」

楜はビックリした顔をしたが、すぐに真面目な顔になった。

「……はい。私でよければ。」

「ふふ、ちょっと変だったかな?」

「うんん、変じゃなかったよ。」

楜がぎゅっと抱きしめてきた。

「私、とっても嬉しいよ。ゑ鳴と結婚したら、さらにえっちな感じになりそうだね。」

「あはは、確かに分かる気がする。でも、お楽しみはお預けだね。」

「ああ、そうだね。折角ゑ鳴と愛のひと時を過ごしていたのに。」

後ろの方から、足音が近づいている。さっきより増えている気がする。

「さぁ、ここから脱出しよう!」

「うん!愛する人と一緒に!」

『そして、私たちは結婚する!』

そして私たちは、逃げながら出口を探し始めるのだった。

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