一つだけの空白席

第3話「二人の初キス」

「ちょ、ちょっと。いきなり何するの？」

「何って、キスだけど？」

「そ、そうじゃなく……」

「ふふ、いいじゃない。好きなのだから。」

「それに、そういうルールじゃない？違う？」

「それは……そうかもだけど。」

「私、分からない。これが正しいのか。」

「私だって分からない。でも、これが正しいって思えるのよ。」

「ああ、それにしても……風香は可愛いなぁ。」

そう言って、再度キスして来た。

早桜のキスはとても上手で、すぐに気持ちよくなってしまう。

「(私、こんなことして本当にいいのかな。)」

「(でも、こんなに気持ちいい良くて……ああ、クセになりそう。)」

「あっ……/// んんっ……///」

そして私は、身体の力が抜けて、立っていられなくなった。

「ご、ごめん。気持ちいい良くてつい……」

「だ、大丈夫……も、もっとして欲しいぐらいだよ……はぁー///はぁー///」

「な、さっきまで迷っていたのに、もう落ちちゃったの？」

「……それにしても、風香ってエロいね。」

「そ、そんなこと……ない思う。」

「(確かにさっき変な声を出しちゃったけど……)」

「もう、正直じゃないわね。」

「でも、そういう所も風香らしいわね。」

「(初めて会った人と初日でここまでするとは思っていなかった。)」

「(でも、これがルールだし、それに早桜は可愛いし……)」

「分かった！私はさくらちゃんを彼女にする！」

「い、今更なのね……でも、ありがとう！」

「……じゃあ、もっと激しくシてもいいよね！」

「ま、待って……ここじゃ誰かに見つかっちゃうよ 。」

「確かにそうね。でも、部屋ってどこにあるか……あれ？」

「分かる……なぜ？」

「私も分かる。最初から知っていたかのような……」

「同じだ！私も最初から知っているみたいな、そんな感覚だよ。」

その時、放送のチャイムが鳴った。

「《お知らせしま～す》」

「《部屋は2人部屋です。場所は2人の距離が近づくと、直接脳に伝えま～す。》」

「《現在部屋が分かったのは1組だけです。他の人たちも頑張りましょう！》」

「……なるほど、良かったね。これで一緒に寝れるね。」

「うん。そうだね。……まだ、私たちだけなんだ。」

「ふふ、そうだね。」

そう言って、私の唇にキスをした。

1番という特別感が私を襲い、もっとシたいと思った。

早桜が唇を離した瞬間、私は抱き締めながら、強めのキスをした。

早桜はびっくりしたが、すぐに理解し、私を抱き締めたのだった。

「なんだ今の放送は。2人の距離？」

「私は楓花が好きだぞ！なのになんで分からないんだ。」

「あ、あまり大声で言わないで……恥ずかしい。」

「ご、ごめん……」

「1組って誰なんだろうね。私はそっちの方が気になる。」

「確かにそうだな。そいつらをとっ捕まえて教えてもらうのはどうだ？」

「うん、いい考えだけど私は見なかったことにするね。」

「まぁ、私もそこまではしないさ。ちょこっと聞くだけさ。」

「ふふ、そうね。」

と、廊下を適当に歩いていると……

「あれ？あそこに人が居ないか？」

「うん、いるね。」

「ちょこっと覗いて見ようぜ！」

「バレたら私は溶ける。」

「大丈夫。溶けはしない。」

そして私たちは足音を消して、人の方へと近づく。

そして、見える所まで近づいて気づいた。

「えっ……」

「わぁー」

「あの二人、もうキスまでしているのか。」

「へぇー、面白いね。あぁ、舌まで入れちゃって！」

「もしかして、さっきの1組って……」

「うん、咲木が思ったので合っていると思うよ。」

「……どう？答え合わせする？」

小悪魔顔で問いかけて来た。

「そ、そうだよな。答え合わせしないとな。」

私は楓花の腕を掴んで、別の場所へ移動する。

「……ここなら誰も居ない。」

「本当にするんだね。」

「ああ、もちろん。このままだと一緒に寝れないからな。」

「ふふ、確かにそうね。」

そして私は楓花にゆっくり近づく。

緊張が体全体を支配していた。だけど、このままではいけない。先に進まないと。

そして私はぐッと力を振り絞って、楓花の唇を奪った。

「んっ……んっ……//////」

「ぷはっ」

「ふふ、私は意地悪だからもうちょっとシて欲しいかも。」

その言い方に、ドキドキとしてしまった。

昔から楓花のことは知っているから分かる。

普段はあまり喋らない普通の女の子。

だけど、行為に火がついちゃうと、小悪魔になってしまう。

こうなっては止める手立てはない。

なので私、思いっ切り楓花の唇にキスをした。

さらに舌も入れて、小悪魔になった楓花を戻す。楓花の喘ぎ声が私の脳を溶かす。

だが、負ける訳には行かない。

私は残っている力を使って、楓花を沈めた。

その時だった、部屋の場所が分かったのは。

だけど、力を使い果たしてしまったため、動けなかった。

そしてしばらくこの状態でいることにしたのだった。幸い、少し隠れた所だったため、クラスメイトに見られることはなかった。