タテガミぱっつん!

 さて、馬術競技には、身だしなみにもルールがあります。

 元々、フォーマルなので、平服は許されず、なところがあります。

 ルールは時代に合わせていろいろと変わってはきていますし、ローカルルールもありますが、大会規定に外れると失権になってしまう場合もあります。


 特に、馬場馬術は禁止事項が障害競技よりも多いです。

 できるだけ多くの人がチャレンジできるように、という理由なのか、折り返し手綱の使用や鞭を許可している大会もあるようですが、基本、これらは禁止です。

 使えるハミや頭絡も細かく決まっていて、かつてシェルでミックレム頭絡で出たところ、もう少しでオープン参加扱いになるところでした。

 当時は使っている人の少ない頭絡だったので、ジャッジも見たことがなく、使用禁止の頭絡だと思われたようで、ちゃんと調べて使っています、と訴えて、やっと認められたのでした。

 ハミの形状は許可された物でなければいけませんが、素材までは規程がなかったと思いますが、それでもシェルの使っているハッピーマウスというプラスチック製のハミはダメじゃないか、と言われ、焦ったこともあります。


 あーこは特殊なものを使っていませんが、おそらく靴はダメでしょう。

 肢巻、プロテクターなど、脚部に装着するものは禁止なので、靴がダメだというのは容易に想像がつきます。

 前もって確認したとしても、その時のジャッジに話が通じていないとトラブルになる可能性があるので、前日まで靴を履いて練習し、本番の日は裸足で出ることにしました。


 ゼッケンは白でなければなりません。

 シェルのゼッケンがあるので、それを使うつもりでしたが、なんと、あーこっこクラブ会員さんが、あーこのデビューを喜んでくれて、プレゼントしてくれました。

 ピッカピカの新しいゼッケンでデビューすることとなりました。


 タテガミは、編み込まなければならない……ってことはありませんが、フォーマルな場ですから、ザンバラタテガミではちょっと印象が悪いです。

 ところが、あーこのタテガミは、一部、馬栓棒で擦ってツンツンに立ってしまい、とても編めるような状況ではありません。

 そこで、ぱっつん、モヒカンにしてしまいました。

 まるで編み込んだかのように、すっきり切りそろえてしまい、編み込む必要がなくなりました。

 前髪さえあれば、それほど気にならないものです。その前髪も、イヤーネットをすれば隠れるので、編み込む必要はありません。

 楽ちん楽ちん。

 まこさんが当日にいれば、尻尾を綺麗に編んでもらうところですが、不在なので、こちらはサラサラ作戦で行きます。


 準備はバッチリ!

 あとは、故障なく順調に調整し、本番を迎えられれば……。

 と、思っていたのですが、そうそう簡単に物事は進みません。

 とんでもない事件が待ち受けていました。

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