まこさんの乗り納め

 8月22日、久しぶりにまこさんと一緒にあーこのところに行きました。

 実は、この日は私も久しぶりの白老で、その前の騎乗は8月6日、行こうと思った日に大雨になったり、あーこも蕁麻疹を出していたりと、時間が空いてしまいました。

 まこさんに至っては、本州に引っ越ししたため、1か月ぶりでした。

 この日は、私が車を運転し、まこさんに存分にあーこに乗ってもらうことに。

 ……というのも、あーこが乗馬クラブに引っ越してしまったら、もう、まこさんはあーこに乗る機会がなくなってしまうからです。


 ホースフレンドファームは乗馬もやっていますが、コロナのせいでビジターを制限していました。

 なので、乗るのはほぼ自馬オーナーだけ、馬場も馬の蹄の跡よりも鹿のチョキの足跡が残っている状態でした。

 そのせいもあって、友人を連れてきて自分の馬に乗せることにも寛容で、どうぞどうぞ、なのでした。

 自由度がとても高かったのです。


 でも、乗馬クラブは自馬会員は少数派、レッスン馬に乗ってレッスンを受ける会員さんがメインです。ほとんどがマンツーマンレッスンなので、予約制になっています。馬場はほとんどの時間、使われています。

 自馬オーナーは自由に乗れますし、たまに会員同士で乗ってみて、ということもあるようですが、部外者を連れてきて乗せることはできません。

 遠くからきてくれたお友達とか、いつもお世話になっている人なのでちょっと跨がせたいとか、そういう融通はつくでしょうが、自馬会員の友人だという理由で、頻繁に乗りにくるのは常識的にできないでしょう。

 だって、他の人たちは、高い入会金と年会費を払って、このクラブの会員となっているのですから。

 クラブの決まりでは、そういう場合、馬場使用料を払ってもらう、ということになっているようです。あーこが引っ越ししてしまったら、まこさんは馬場使用料を払って乗ることになってしまうのです。

 本人はそこまでしては乗らない、時々、お世話したり、映像を撮る手伝いをする、とのこと。

 まこさんだけに限らず、あーこっこファンになって乗りに来てくれていた人たちにも乗ってもらえなくなります。

 それが、乗馬クラブへ引っ越しする、ということなのです。


 今まで快くできたことをできなくしてしまう。

 それも、私の判断で引っ越しを決めたことにより。

 まこさんのこれまでの献身を思えば、なんとも心苦しいことです。



 まこさんの乗り納めのこの日、とてもいい天気でした。

 でも、前日までが大雨で、その爪痕も残っており、放牧場も水浸しでした。

 まこさんがブラッシングした後、あーこはトコトコと放牧場の奥へと歩いて行ったかと思うと、ゴロン。乗る前にどろんこだらけになってしまいました。

 蕁麻疹の影響か、げっそりと痩せていて、馬装中にも眠気が来てしまい、うとうとしてしまいました。

 それでも、騎乗中はしっかりということを聞くいい馬っぷりを発揮。

 ただ、夏場もあって、体力が落ちているのか、少し乗っただけで、フーフーになっていました。

 騎乗後はシャンプーをして綺麗に。


 そして、次に私が白老に行ったのは引っ越し当日。

 その日が、ホースフレンドファームでの私の乗り納め。

 あーこは、引っ越ししただけではなく、人との別れと出会いも経験したのです。


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