大どんでん返し!
春になり、雪がなくなりましたが、今度は天候の悪い日が続きました。
なかなか順調には通えていない中、上手な人にあーこに乗ってもらう機会があり、思った以上に動きが良かったことから、あーこすごいぞ! という気持ちと、私一人じゃ才能を開花させてあげることはできそうにない、と凹みました。
その人に、週1回でも騎乗をお願いできたら……とも思いましたが、向こうにも都合というものがあります。
乗馬というスポーツは不思議です。
お金を払って調教してもらったり、お金を払って乗ってみたり。
馬を調教できるレベルにある人は、ある程度自由度の高いクラブでは重宝されて、むしろタダで新馬に乗せてもらったりして、乗馬クラブとウインウインな関係を作ったりします。
なぜかボランティアで乗馬指導も行っちゃうようなこともあり、私が乗馬を習い始めの頃は、インストラクターだと思っていたら、そのクラブのお客さんだった、なんてことも、よくありました。
今でも、小さな乗馬クラブでは、そんなところがあるかもしれません。
そんな出会いがあって、あーこを半分でもお任せできれば……と思っては、そんな他力本願ではいかんぞ! と自分を嗜めるのでした。
ただ平和な日常をのどかに過ごせ、と言うには、かなり無理をしながら過ごしている。
その先に、夢や希望を見出すことのない、中途半端な日々の繰り返しをなんとか打開したいのだけれど……と思っても、現状は厳しく感じました。
そんなある日のこと、大どんでん返しが起きました!
シェルを預けているクラブから、馬房が空くんですけれど、どうしますか? と言われたのです。
実は、後から知ったのですが、馬房が空く順番待ちをしている馬も何頭かいるようで、以前、馬房が空くならあーこを移動させたい、と言っていたことが、クラブ側としては順番待ちリストに入れてもらえていたようで、無駄じゃなかったのです。
即答でお願いします! と言ったものの、その後、少し迷いました。
YouTubeのファンの人は、フレンドファームで自由に過ごすあーこの姿を喜んでいる。応援してくれている。
乗馬クラブで乗馬を続けることを望んでくれるだろうか?
さらに、今まで自由な放牧生活を送っていたあーこが、再び、放牧の時間があるとはいえ、多くの時間を馬房で過ごす生活に、馴染めるだろうか?
乗馬として乗って、ハードワークにならないだろうか?
様々な不安がありました。
再び、以前の心を病んだあーこに戻ってしまうのでは?
でも、もうこんなチャンスは2度と来ない。
あーこと再び前に進むためにも、このチャンスを逃してはならない。
馬房が空く理由は、なんとも不思議なものでした。
引退する馬の後に入る予定だった馬は、競走馬として生を受けた馬でした。
が、オーナーさんが「もう競走馬はいい、余生は穏やかに過ごしてほしい」と言い出して、育成にも行かず、母馬と共に養老牧場に置かれていたのです。
最低限の人の手しか入っていない馬を、今度は孫に乗せたいと言い出し、バリバリ新馬をなんともできない養老牧場は、乗馬クラブにその馬を入れて調教してもらうことにした、ところがやはりオーナーさんが、乗馬クラブに入れるのは嫌だ、と言い出して、キャンセルとなったらしいのです。
また聞きで繋いだ情報を勝手に推測しての話なので、正確ではないかも知れませんが……まぁ、なんとも、馬は人の気持ちに振り回されてしまうというか、ちょっとかわいそうではあります。
自然の中でのびのび育てば、優しい従順な馬に育つ……そう信じている人は多いです。
でも、その中でも、人との関わりや付き合い方を学ばなければ、手のつけられない野生馬になってしまう、馬を扱う人の努力があってこそ、なのです。
その仔馬の将来を思えば、なんだか不安しかないのですが、それはそれ、とりあえず、あーこのためにはいい方向に転んだのでした。
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