シェルのいる乗馬クラブへ

ドカ雪にギブアップ!

 2021年の冬は記録的なドカ雪に悩まされました。

 ずっと雪国育ちの私ですが、これだけのドカ雪は生まれて初めてです。

 せっかく買った車を掘り起こすのに2時間、やっと動かしても道に除雪が入っていなくて、運転できない、という日もありました。

 FRの夫の車は、この冬はほとんど稼働せず、私の車を交互に使うという有様。

 車を買うことになるなんて、馬鹿なことをしているな……などと思っていましたが、この車がなければ、我々夫婦はスーパーへの買い物でさえ困る羽目になりました。

「人間万事塞翁が馬」です。


 ただ、私のフレンドファーム通いは、希望の週3回はとても無理になってしまいました。週1回が限界です。

 その1回も、ドカ雪で中止になったりもしました。

 白老方面も、珍しく雪が多い年で、むしろ、普段雪が少ない地方であることもあり、途中行く道は除雪状態が悪いこともありました。

 高速道路は除雪が行き届きますから、使う頻度が増えました。が、料金も嵩みます。それと、ハイブリッド車である私の車は、高速走行の方が燃費が悪いのです。

 ホワイトアウトにあって勘弁……という日もありました。


 まこさんの運転で出かけ、まこさんの用事の都合で急いで帰らなければならない時に、高速で帰るか一般道路を通るか迷いました。

 まこさんは、少し遅れてもいいから、お金のかからない一般道を行こう、と言いましたが、なんとなく渋滞の気配を感じて、高速に入りました。

 ところが途中でホワイトアウトし、車線も見えない……どころか、雪が深くなり、制限速度が50キロ規制になったものの、とても50キロでは走れない状況に陥りました。視界は、最悪で20mなかったかもしれません。

 あと10分高速に入るのが遅かったら、通行止めになっていたのでは? と思うほどです。

 正直、運転に慣れているまこさんがいてくれて、本当に助かりました。


 時には美しい雪景色の中のドライブとなりましたが、やはり、きつい。

 雪が溶け、春になり、また夏が来て……秋が忍び寄ってくるのだな、また冬になるのだな、と思えて、憂鬱になりました。

 もう通うのは限界だ……と思いつつありました。



 そんな中、春に、シェルのいるクラブの馬が1頭、引退してホーストラストに行くという話が聞こえてきました。

 1頭馬がいなくなる……つまり……馬房が空く。

 私はいてもたってもいられなくなり、あのぉ、噂で聞いたのですが……と、思い切ってクラブ側に話しました。あーこをこちらに動かしたいのだ、と。

 しかしながら、クラブの話はこうでした。

「もう次に入る馬が決まっているんですよ」

 ダメもとでお話ししたのに、やはりダメだったとわかると、私はかなりガッカリしてしまいました。

 クラブを見渡しても、もう引退して出てゆく馬は見当たりません。

 引退馬はいますが、クラブで養老馬として世話をしているので、出ていくことはありません。

 かなりベテランの高齢馬になっている馬もいますが、まだ2、3年は現役でいけそうですし、今のクラブオーナーは馬を大事にしているので、年老いたからといって処分するような人ではなく、出ていく馬のあてはありません。

 つまり……あーことシェルをこのクラブに置ける可能性は極めて低い、ということです。


 2頭を別々の場所に置いているけれど、いつかは集約して一箇所にしたい。

 それは、きっとフレンドファームの方だろう、と思っていました。

 しかし、通う大変さと、シェルもあーこも近くに置きたいという願い、乗馬として長く現役でいてもらいたいという希望で、私の心は今の乗馬クラブの方に傾いていたのです。

 フレンドファームに不満はありませんでしたが、ものすごくガッカリしたことで、自分がどれだけそうしたいと願っているのか、余計に感じてしまいました。

 そして、そのガッカリ感が、また1年後に訪れるだろう冬の憂鬱に拍車をかけるのでした。

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