コロナ禍でお客さんがいない
私が行けない日には、レッスンで使ってもらい、乗馬としての仕事を忘れないでいてもらおう、という考えに至りました。
ところが、コロナが猛威を奮っている時期です。
フレンドファームさんは、オーナーさん以外のお客さんの受け入れを、長期に渡り、自粛することとなりました。
その結果、先代が引退してからは養老に力を入れていたようなのですが、その傾向がかなり加速していったように思います。
様々な作業と馬の調教という面で、どう見ても乗馬にシフトする人材が不足、週に1回乗りにくると、馬場には鹿の足跡だけ、馬が走った形跡はありません。
時々、馬のオーナーさんとバッティングし、一緒に譲り合って馬に乗ることもありましたが、スタッフが馬に乗って調教する、という姿は、見ることがありませんでした。
あーこに乗ってくれるボランティアスタッフもいましたが、たくさんの馬を抱えていた上、いつくるのかわからない、という状況で、任せておけばバッチリだ! と思うには、ちょっと厳しいものがありました。
お客さんがいない=ニーズがない=ファームの馬もいるのに、わざわざリスクを背負ってオーナーが可愛がっている馬を、オーナーの許可を得たとしてもお客さんに提供する必要がない、そのための準備に時間を費やすには、厩舎作業は大変すぎるのです。
健康状態をチェックしてくれたり、日によって馬着を着せたり脱がせたりしてくれたり、その他諸々のお世話だけでも、十分大変なのです。
徐々に、私の中に、ここであーこが乗馬を続けるには、週1騎乗では難しい……という考えが湧いてきました。
ある人に「シェルとあーこを入れ替えれば?」と言われ、嫌だ! と即答したものの、それもありなのかもしれない……と頭に残りました。
シェルは、ずっと故障が長引いていて、人を乗せるのが嫌だ、というのが明らかです。あーこは、故障がちとはいえ、長引く故障はなく、まだまだ若い馬です。
シェルを放牧生活にして、あーこを乗馬クラブへ。
これは、とても正しい選択に思いました。
でも、とても踏み切る勇気がありませんでした。
私にとって、シェルはとても大事な馬で、毎日顔を見るのが当たり前で、週1回しか会えない生活なんて、耐え切れるとは思えません。
私とシェルは、おそらく「共依存関係」に近い状態で、離れ離れにはなれないのです。
それがシェルの幸せのためかも? と迷いつつ、やはり、私のわがままで、自分もシェルも、現役でいられる時間は、それほど長くない、その時間を最後まで……という気持ちに負けてしまうのでした。
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