二人でワイワイ
以前のクラブを出る時に、私はあーこを買取り、自分の馬としました。
が、そもそもは、2人、もしくは3人で持っていた馬です。
預託料を出せば自馬扱いしてもよいシステムのクラブだったので、良識の範囲内で他人と預託料を分け合って出し、共有することができていたのです。
故障がちのあーこが負担になって、一人が抜けました。
最初から一緒に持っていたまこさんも、引っ越しして遠くへ行くからと、7月で離れることが決まっていて、私一人で持つことになっていました。
それだけでもかなりの負担で途方に暮れていて、誰か一緒に持ってくれないか……と思っていたのです。
それがなんと、完全に買い取って自分の馬にして、しかも、引っ越しもすることになろうとは!
細かな事情は前作で書いたので、ここでは省きます。
しかし、YouTubeでの収益化が現実のものとなるまでは、シェルを持つだけで精一杯だろう、あーこは手放すべきだ、と誰もが味方になってくれず、まこさんまでもクラブのレッスン馬として使ってもらえればいいじゃないか、という意見でした。
正直、かなり気まずいものがありました。
そもそも、あーこをめぐっての考え方でも対立がありました。私はなんとかあーこを大会デビューさせて「できる馬アピール」をして、レッスン馬に戻すことなく、新しいオーナーを探すことを目指していたのに対し、まこさんは、故障がちのあーこに無理させることはない、競技にも別の馬を借りて参加する、という状況でした。
馬が元気な状態の共有は問題なくても、故障がちだと何かと問題が起きます。
まず、誰もが積極的に乗りたがらなくなります。自分が乗って悪くなった、と思われたくない気持ちが働きます。
実際、あの人の乗り方が悪いからこうなった、という思いに囚われ、お互いの信頼にヒビが入ってきます。
故障がちのあーこが負担になって……と書きましたが、正確には、あーこが故障がちだからではなく、故障馬を3人で持つストレスに負けて……が正しいのでしょう。
私があーこを完全に買い取ったことで、私の方針で突き進むことができます。
それまでは、まこさんの意見も共同馬主として考慮しなければなりませんでしたが、アドバイスとして参考にすればいいのです。
あーこは手放さず、レッスン馬にも戻さず、クラブを引っ越しするのだ、と決意を伝えると、そんな甘いものじゃないよ……と言いつつも、まこさんから協力を得られるようになりました。
二人で色々なクラブを回り、話を聞き、意見をかわし……そして、引っ越し先を決めたのです。
まだ車のない私は、まこさんの運転であーこのところまで連れて行ってもらえることが、とても助かりました。
立場上、共同オーナーからあーこっこクラブの一会員になった形ですが、ホースフレンドファーム時代は、むしろ今までよりもまこさんとあーこの絆が深かった時代かと思います。
私も、今までのような「いい馬アピールして誰かの馬に」という野望は潰えてしまっていたので、乗り方や運動の仕方も気にならなくなり、自ずといい雰囲気で過ごすことができました。
毎週、ドライブ……って感じでしょうか?
途中、食事をしたり、お茶したり、楽しい日々が続きました。
そして、養老牧場の色合いの濃いホースフレンドファームでは、お友達を自由に乗せても、馬場使用料などを取らない方針でしたから、YouTubeで知り合った人が遊びにきた際は、あーこに乗せてあげることができました。
本州から泊まりがけで会いにきてくれた人たちもいて、いい思い出となりました。
白老には、丸々1軒、お借りできるような宿泊場所もあり、そこでワイワイやりました。とても感じが良かったので、コロナが治ったら、あーこっこツアーを企画して、YouTubeで応援してくれる人で集まりたいな、と思っていました。
それが実現しなかったこと、残念に思います。
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