この子、こういうの苦手だから…

「ライバル手強いよ?」

春乃の事が好きだと言う新に、湊はニヤッと笑って言った。

「あー、春乃ちゃん、すごいモテるから」

「そうだね、頑張ってね」

湊は楽しそうだった。


次の日、学校からの帰り道、

「春乃ちゃん」

春乃は後ろから声をかけられた。

「新くん」

「一緒に帰ろう」

「うん」

2人は並んで歩き出した。

「昨日最後に撮った写真見る?」

「うん、見たい!」

「えっと、コレ…」

新は春乃に携帯の画面を見せた。

「あーいいね、これ私にも送ってくれる?ライン交換しよ」

春乃は、天然なので、何の意図も無く言ったが、新は違う意味で捉えていた。

「ね、次はさ、2人で遊ぼ」

「2人?」

「うん」

「んー、そうだね…」

春乃は、新は人畜無害だと思っているので、

適当に答えてしまった。

「春乃ちゃん」

「ん?」

「好きだよ」

「え?」

新は春乃を抱き寄せた。


春乃が新に抱きしめられる瞬間。

新の腕を誰かがつかんだ。

「この子、こういうの苦手だから」

春乃から、新を引きはがした。

孝司だった。

「孝司…」

孝司は少し怖い顔で春乃を見ると、去って行った。


新は分かった。

誰が手強いライバルなのかを。

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