進展したんじゃなくて、戻ちゃった?

とりあえず、孝司と春乃は、仲いい友達に戻った。

学校での2人を見て、小学校時代の友人達は

(いったいどうなったんだ?)

(付き合う事になったの?)

と、皆戸惑っていた。


佐和が代表して、春乃に聞く事になった。

「春乃ー」

「あ、佐和。あのね、孝司と仲直りできたよ」

春乃は嬉しそうに言った。

「え?仲直り…?」

「前みたいに友達に戻れたの」

春乃は佐和に嬉しそうに報告した。


「戻っちゃったの?」

「え?うん」

「進展したんじゃなくて?」

「うん、前に戻りたかったから、良かった」

佐和は、困惑した。

「孝司は何て言ってた?」

「えっと、高校入るまでは忘れてくれるって」

(ギリギリまで、譲歩したんだ…)

「そっか良かったね」

「うん」

(さすが、恋愛レベル1…。まぁ、春乃は喜んでるから、いいか…)


佐和は、この情報を友達に伝えた。

「さすが、春乃…」

「いや…、これひどいよ」

「もう孝司に責任持って引き取ってもらうしかないよ」

「あんだけの逸材がね。恋愛ベタと相殺されてただの人…」

「うーん、勿体なさすぎる」

「ねぇ」

皆ため息をついた。



孝司は佐和に話を聞いてもらっていた。

「とにかく忘れて欲しいって」

「やっと気持ち伝わったのにね」

「俺はさ、好きかわからないんだけど、ちゃんと考えたいって言ったの」

「うん」

「そしたらさ、嫌だの一点張り」

「で、高校までは忘れると…」

「そう言わないとさ、納得しないんだもん」

孝司は困った様に言った。

「でもさ、孝司は春乃に強く言える立場じゃないからね」

「なんで?」

「あんた、10年もあんな可愛い子縛りつけてたんだから」

「気づかんよ、あれは…」

佐和は少しイラッとした。

「私らは気づいたよ」

「…」

(ぐうの音も出ない)

「それに、好きかわからないくせに、春乃に好きでいてもらおうなんて、図々しいよ」

孝司はグサッときた。

「確かに…」

(相談したつもりが怒られた…)

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