ホントに好き?

孝司は受験に向けて、勉強ばかりしていた。

市で一番偏差値の高い高校を受験する予定だからだ。


孝司は、春乃に高校までは告白の事を忘れると言ったが口だけで、勉強の合間に春乃と会った時は、そのことでちょいちょい春乃をいじっていた。


孝司は、春乃の恋愛レベルが低すぎるがゆえ、孝司の事を好きって言うことさえ、勘違いしているんじゃないかと疑っていた。


こんな、人の弱みにつけ込んていじってくる男でも好きでいられるのか、試さずにはいられなかった。


春乃は、正直イライラしていた。

勉強の合間に、2人で春乃の家で遊んでいたときの事。

「孝司…。何かしつこい…」

「ごめっ」

初めて春乃から文句が出て孝司はびびった。

「ごめんなさい」

改めて謝った。

春乃はまだ怒っている。

「可愛いとか…。いじってくるの、ホントやめて…」

春乃が小さい声で言った。

「ごめんなさい」

孝司はしょぼんとした。

「忘れて…」

「…」

孝司は、あんまり嘘を付きたくなかったので黙った。

孝司が黙った事に春乃はまたイライラした。


「友達やめるよ」

春乃が脅してきた。

「ごめん。もうしない…」

孝司は反省したように言った。

しょぼんとしてる孝司を見て、春乃は小さく笑った。

いつもいじられてばっかりなので、仕返しできたことが嬉しかった。


「嬉しそう…」

孝司はしょぼんとしたまま呟いた。

「嬉しい」

孝司はちょっとムッとした。

「俺の事、好きな癖に…」

やばいと思った時にはもう遅かった。

「嫌い」

はっきり言われた。


「ごめん」

「…」

春乃は涙目になった。

「…」

「…」

沈黙が流れた。

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