第9話
「…チャール公爵様との関係をお聞きしてもよろしいでしょうか?何分あちらは公言しては無いので、こちらも分かっていないもので。」
「チャール公爵家には少し好意を持たれているだけです。長話になるので、控えます。それとも、お聴きしたいですか?」
「ええ、是非とも聴きたいですねぇ。先程も伝えた通り、こちらも情報が入らないものでね。頼めるかね」
「ええ、いいでしょう。それでは…」
キースに返事を返しながらも、チャール公爵家と関わり合う頃を思い出していた。
それは学園の中等部の
その日も、特に問題は起きず終わるはずだった。
それが何故か、高等部にいるはずの公爵家子息が食堂へやってきた。周囲の生徒や講師に目もくれず、1人の席、つまりはセリアの席に近付いていく。
「お前が平均点を取り続けているという噂の令嬢か?随分と食事がお粗末だな。もし私の頼みをやれるなら、ここより良いレストランへ何度でも連れて行ってやろうじゃないか。さあ返答は?」
「いえ結構です。特に金銭面で辛いわけでも有りませんから。別に王都での生活に不自由してませんし」
「なに、なんでも言うが良い。私の頼みは簡単…。…なに?」
面倒なのが来た、と言うように失礼に当たらない程度の速さで食事をしながら答える。周囲の雰囲気は最悪で、断るとは思っていなかったのか公爵子息が口を開けて呆けている。
「だから結構ですよ、それに公爵家からの魅力は無いので。もし頼みたいのならば、別の方、成績トップの方に聞けば良いのでは無いでしょうか?」
「…。おい、私は公爵家嫡男、ベルトン・チャールだ。次期公爵である私からの頼みを断ると言うのか?」
「はい!是非とも関わりたくない、いえ近付いてほしくありませんので。もう来ないでくださいね」
「むっ!私に逆らって生きていけると思うなよ、セリア子爵令嬢。覚悟するが良い、謝るなら今のうち…」
ベルトンが言い終わる前にセリアは席を立ち、立ち去ってしまう。最後まで言えずに、赤面で恥じるベルトンを側近候補が宥める。
食堂の周囲に居た生徒は噂の令嬢が公爵家を敵に回した、と大慌てになる。講師は集まって対策を練る。
「では失礼します。」
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