入院翌日、お部屋引っ越し
入院2日目は診察から始まり、改めて手術する場所の確認をして、前話で書いた通り手術内容を変えることを決定した。
この決定に伴って、手術の同意書を書き換えるという話になった。
元々の同意書は「摘出術」だったのが「切除術」に変わったのだ。杓子定規だなぁと言えばそれまでだが、そういう手続きをきちんと踏んでおかないと、後で取り返しのつかないことになりかねない。
しかしこれに関しては、私はサインをするだけだ。とりわけ面倒なこともなかった。
多少手間がかかったのは、その後の部屋の移動だ。
初日に「荷物を広げないように」と言われていたが、一晩とは言え部屋で過ごすとなると、どうしても鞄から色々出さなくてはいけない。
一番かさばるのが洗濯物で、これを新しいものと使ったものに分けて旅行用バッグに詰め直した。
シャワーを浴びたり歯を磨いたりといったことも、やらないわけにはいかないので、結局持ってきたものはほぼ全て部屋中に並んでいた。これらも全部詰め直しだ。
で、すぐに移動できたかと言われれば、それもかなり待った。
なにしろこのB病院、入院が午後1時と決まっているので、誰かが退院して部屋が空いても、移動できるのは昼食後なのだ。
ぶっちゃけるとこの日はものすごく暇だった。
必要な手続きは朝のうちに済んでいるし、手術前のいくつかの処置もささっと終わった。あとは明日の手術を待つばかり、という日だ。
テレビやネット動画を見る習慣はないし、入院に際しての注意事項などのパンフレットは読みつくしていたので、ブルーレイプレイヤーがなければ待ち時間で疲れ果てていたかも知れない。私の性格をよく分かっていた夫に感謝だ。
それでもいざ部屋を移動したときは、少し興奮した。
私が最初に入っていた部屋も、見た目はほぼホテルのようだったのだが、それでもまだ「病室」の領域だった。
しかし新しい部屋は、もう完全にホテルに等しかった。
ホテルと違うのは、ベッドが可動式の医療用のものであることと、同じくキャスター付きのサイドテーブルがついている事くらいだ。
部屋にはリラックスできるような簡単な絵画が飾られていて、その下にある医療器具を差し込む場所は、茶色いスライドできる板で隠されている。
この辺りまでは前と同じなのだが、一番違ったのは水回りだ。
トイレとシャワーが隣り合っていた前の部屋と違い、こちらは洗面所とシャワーがセットで、トイレは完全に別室だ。
椅子のついた洗面台には洗濯籠が付き、鏡の裏には化粧品や歯磨きなどをしまう棚までついている。
以前はトイレとシャワーの間に排水溝が1センチあっただけだったのが、今回は完全にドアで分けられていて、どれだけお湯を飛ばしても着替えを濡らす心配がない。そもそもトイレの上に着替えを置くなんて真似をしなくていい。
明日は手術だ、という緊張感はありつつも、私は少しわくわくしてしまった。
それはこの部屋の過ごしやすさもあったけれど、明日には家族に会えるんだ、という嬉しさでもあった。
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