入院準備!とくればやっぱり……

 食事会が終わればいよいよ入院目前である。

 用意して欲しいと言われる物は、病院によって様々だ。ほとんどホテルに泊まるような感覚で、日常に必要なものは置いてある場合もあれば、ほぼ何もない医療設備だけの場合もある。

 私が入院したのはそれが半々という感じの病院だ。


 一つだけ、コロナが始まる前と変わっていたのは、タオル類が毎日交換で用意されていた事だ。

 入院中には、ほぼ毎日、フェイスタオル2枚以上にバスタオル、バスマットを使うことになる。

 これがコロナの前だったなら、自分が洗濯に行けなくても、家族に来てもらって交換することが出来た。しかし面会お断りの今、受付で差し入れをしてもらう事は出来ても、こちらから出すことが出来ない。

 正直そこをどうしようかと思っていたら、入院説明でタオルが出ると分かって安心した。大量のタオルを荷物に入れずに済んだ分、鞄もだいぶ軽くなった。


 それ以外に必要なものは、たまに旅行する時に持って行っていたものや、以前入院した時の物などで事足りた。


 ただしこれらは「必要」物品の話である。

 入院中に必要不可欠なもののなかで、リストアップされていない物があるのだ。

 これは一度でも入院したことがある人ならおそらく知っている。暇つぶしだ。


 入院中というのはとにかく、とにかく暇だ。

 お医者さんたちも看護師さんたちも休まず動き回っていて、暇だなんて言うのは申し訳ないのだが、どうしようもないほど時間が余る。

 朝夕の診察、三食の食事以外は、患者の仕事は休む事だけだ。しかしその間ずっと眠っているなんてのは無理なので、暇つぶしは必須である。


 これに対して私が毎回用意していたのは、DVDだった。

 普段ならまとめては見られない、1年がかりで放送されたアニメや、大河ドラマなどを丸ごと持って行くのだ。


 しかし今回は少し困った。

 入院病棟が新しくなると同時に、DVDレコーダーが設備の中から消えてしまっていたのだ。元々は入院に際しての注意事項をDVDで見せるためのもので、それをYouTubeで見られるように整えた関係で、無くなってしまったらしい。

 それに手持ちのDVDは、今やほとんどがブルーレイに置き換わっていた。これを再生するには専用のレコーダーがいる。


 という話になったところで、夫が「ポータブルのプレーヤー買うよ」と言い出した。

 小さいノートパソコンくらいのサイズで、DVDやブルーレイを再生する専用の機械だ。パソコンを買うよりは安いものの、ほいっと買える値段ではない。

 最初は遠慮したものの、確かにそれがあれば安心だった。私の趣味は他に文章を読み書きするくらいで、本を大量に持って行くのはとても重いし、ノートに手書きすれば後で打ち直しが手間だ。


 夫は「これは必要経費だよ」と言って、すぐに電気屋に連れて行ってくれた。

 こうして買ったプレーヤーが、入院中に大活躍してくれたのは言うまでもない。

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