手術方法決定!

 次の受診までは一週間ほど空いていて、私は夫や家族と色々相談しておいた。

 以前書いたように、手術の方法をどうするか、という問題だ。

 開腹して悪性だった場合のリスクを減らすか、腹腔鏡にして術後の回復を優先するか。

 私はかなり迷っていた。


 お腹を開く場合は、内臓がかなり大きく腫れているので、みぞおち近くまで開く必要があった。となると当然傷は大きくなる。

 もしこれが結婚前だったら、リスクがあっても迷うことなく、開腹は断っていたように思う。

 ちょっとデリケートな話だが、伴侶がいない身で大きな手術痕ができるというのは、かなり気分的な負担が大きいと思うのだ。しかしこの時心配していたのは、体力があまり無くて術後が辛いだろう、という部分だけで、傷ができることはほぼ気にしていなかった。

 そもそも「しんどい時こそ自分が側にいる」と言ってくれた夫なのだ。それくらいで関係が変わる心配はしなくていい、という安心感があった。


 とは言えやはり、傷が大きいのは心配だった。

 過去の2回の腹腔鏡の手術で、小さな傷でもかなりの高熱が出る事や、傷口が痛い痒い、身動きが取りにくい、という術後の負担が出るのも知っていた。

 これがお腹をがばっと開くとなると、その負担は計り知れない。やはり腹腔鏡でして欲しい。


 ここで気になるのは悪性のリスクだが、実は前回の手術の時も同じ事は言われていたのだ。

 今回よりはまだ小さかったものの、その時もかなり大きく腫れているので、もしかしたら悪性の場合もある、という話だった。しかしその後の検査で特に問題はなく終わっていた。

 今回も悪性の診断は出ておらず、大きいから悪性の可能性もあるよ、という話だ。となると、前回と同じ話という事になる。


 そんなわけでやって来た決定の日、私は腹腔鏡で手術をして欲しい事を伝えた。


 B病院の先生は了承してくれた。私がどうしたいか、それ次第だったのだ。

 そして、もし腹腔鏡で難しいと分かった場合は開腹にするという事、取り出すものが大きいのでお腹を5㎝ほど切るかも知れない事、内容物の漏れはなるべく洗うようにする事、などを伝えてくれた。


 さらにこの日、夫と母と一緒に手術の説明も受けた。

 これも私はもはや3回目なので、うんうん頷きながら聞いていた。


 まずはお腹に3か所とおへそから器具やカメラ、中身を取り出すためのチューブを入れて行う手術であること。

 翌日以降まで、お腹の中の様子を確認するための細い管を残すこと。

 お腹に空気を入れて膨らませるので、少しそれが残るものの、いずれ無くなること。

 中で操作する器具の熱で、ごくごく稀に腸を火傷する場合があること。その場合はすぐに連絡してほしいこと。


 だいたいこの辺りだろうか。腹腔鏡の手術の仕方が気になる人は、ネットで検索してみると図解で出てくると思うので、そちらが分かりやすいと思う。


 これでいよいよ次は入院だ。

 が、その前にもう一つだけイベントがあった。

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