歯科と心療内科へ

 手術の必要があるとなれば、他の病院への相談も必要だ。

 特に夏の始めから通っていた歯科は、タイムリーにも必要な治療をしてもらっている真っ最中だった。

 手術の時には口に呼吸用の管を入れるし、麻酔から覚めると歯を食いしばる。なのでガタついている歯や被せものをした歯などがあると、折れたり外れたりして危ないのだ。


 彼氏と会ったばかりの頃、私の歯はあちこちが穴だらけだった。早く歯科に行けばよかったのだが、痛みがさほどでもないうちはと先延ばしにしていたら、どんどん広がっていたらしい。しかも下の親知らずが横向きに生えて虫歯になっていた。


 11月は丁度、その親知らずを抜いた後で、2週間近く口が開かなくなっていた頃だ。

 まだもう片方の親知らずが残っているが、手術の前にそれを抜いたら、たぶん手術が受けられなくなってしまう。


 私は検査が12月であること、手術はそれからおそらく一か月は先になる事を伝えた。

 すると、それ以前に結婚と引っ越しの事を伝えていたのもあって、次の虫歯の治療が12月中に終わるから、そこで一段落にしようという事に決まった。


 もう一つの相談先は、いつも通っている心療内科だ。

 そこは何年も通い続けていた病院で、心療内科ではあるものの、それ以外の体の不調もよく見てくれる先生だ。かかりつけの内科は別にあったけれど、私にとっては一番相談しやすい先生でもある。


 元々は引っ越し先で心療内科を紹介してもらって、すぐにそちらに移るつもりだった。

 しかし最初に紹介してもらった病院が、条件的に診てもらえないと分かって、急いで他の病院を探しているところだった。

 心療内科は先生との相性が決め手になるので、そうそうすぐに代わりは見つからない。そんな時に手術の必要があると分かったのだ。


 私は手術でしばらく地元に滞在する事、手術後におそらく心身の不調が起きるだろう事から、もうしばらくは続けて診てもらいたいと伝えた。

 こちらも特に問題なく引き受けてもらえた。


 正直なところ私は、心身の不調が一番心配だった。薬である程度の補充は出来ても、それで無くなった臓器の代わりが完全にできるわけではない。

 けれど先生は「さほど大きな不調が起こる事はないと思うよ」と安心させるように言ってくれた。

 それは心配性の私を落ち着かせるためだったのか、本当にそういうものなのかは分からない。けれど信頼している先生からのその一言で、そうかも知れないなと少し切り替えが出来たのは確かだ。


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