予想通りと予想外
初めてその症状が出たのは、まだ中学生の頃だった。
ある内臓が腫れてどんどん膨れて、通常のサイズの何倍にもなっていく病気だ。
最初になった時は、薬だけで事なきを得たものの、それ以降頻繁に同じような状態になっていた。
それが完全に戻らない状態まで悪くなったのが、20代の半ばのことだ。
この時は大きくなると言っても、検査で初めて気が付いた程度だった。
薬を使っても元には戻らないという事で、A病院からの紹介で、B病院で手術を受けた。
腫れているのは臓器の一部なので、無事な部分は温存して、というものである。
しかしそれから数年後、また同じ症状が出てしまった。
この時は以前よりだいぶ大きくなっていて、私自身もお腹の張りを気にするくらいだった。
MRI検査という、磁石と電磁波を使って体を輪切りで撮影する検査があるのだが、その写真を見た時はびっくりした。こんなものが体に入っていて、よく普通に生活していたなぁと思ったくらいだ。
再びB病院で、前回と同じ先生に手術をしてもらった。先生は前の手術を覚えていて、そうそう再発するものではないからちょっと運がなかった、という風にこぼしていた。
それからまた5、6年後の今回。
B病院で診察を受けてみると、以前より更に大きな腫れができていた。
正直なところ、2回目の手術でもう片はついたと思っていた私は、再度の腫れにも、その大きさにもびっくりした。
二度も腫れたので「またちょっと腫れたのかなぁ」くらいには思っていたけれど、こんなにばっちりはっきりデカデカと腫れているとは予想外だった。
更に予想外だったのは、その後のB病院の予約だ。
すぐにMRI検査を受けようとしたのだが、以前なら長くて2週間で取れた予約が、1か月先まで取れないという話になっていた。
ここにもおそらくコロナ禍の影響があったのだと思う。
ここ2、3年の間、病院に行きたくとも行けない、あるいは行くのを避けるしかなかった患者さんは多かっただろう。実際に私も、鼻水一つで一か月受診を遅らせたくらいだ。けれど病気が待ってくれるわけはない。
最近少し行きやすくなったことで、一気に患者さんが増えたのかも知れない。となると、時間のかかる検査はなかなか受けられないのも道理だ。
不安ではあったものの、まずは予約を入れておいた。
そして今回に限っては、家族や恋人に相談しなければいけない事があった。
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