不調は続く、けれど行きづらい病院

 最初の受診が不発に終わったあと、一か月は病院に行かなかった。

 何が一番の理由かと言えば、A病院で言われた「鼻水が止まってから」という条件だ。

 この年の秋は、急速に冷え込んだせいか、花粉症が終わる頃には寒暖差アレルギーでまた鼻水が出ていた。しかも頻繁に、体温が平熱より高くなっていた。

 そのまま再度病院に行けば、必然的にPCR検査をしてくれという話になってしまう。


 ならさっさと車で行ってPCR検査を受ければいい、と思われるかも知れないが、このA病院はそれでなくとも待ち時間が長い。

 受付に診察券を渡してから30分は事務処理が終わらない様子で、検査を受けてくれと言われるのはその後。それから短くても検査が終わるまで40分はかかるし、それから待合に行ってだいたい30分から1時間待ちだ。10時に病院に行っても昼過ぎまで帰れない計算になる。

 受診の理由が理由なだけに、診察の後、おそらくB病院に検査予約を入れる必要がある、というのも察していた。それも含めると待ち時間は……と、とにかく気の長い話だ。


 実際に11月に入って、再度受診しに行った時は、PCR検査は受けずに済んだものの、帰宅できたのは12時半だった。


 病院は元気な人が行くところ、なんて言われるのも頷ける。

 この頃、鼻水のせいか頻繁に出る微熱のせいか、はたまたお腹の膨れが影響しているのか、いつも頭痛がしていた。その状態で長時間待つのはしんどい。

 せめて鼻水が止まるまでは待とう、と決めたのは、やむを得ない判断だったと思う。


 と言いつつ、再度の受診を決めた時には、まだ寒暖差でちょくちょく鼻水が出ていた頃だった。

 具体的には書けない事なのだが、体にもう一つ異変を感じていて、これ以上待っていたらたぶん危ない、と思ったのだ。


 辛うじて鼻水が出ていない時を狙って、けれど少し焦って病院に向かったその日。

 やはり最初に予想していた通り、以前手術した事のある病気が再発していた。



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