プロローグ

なぁ、知っているかい?

「偏見」や「差別」を無くそう!!!と

声を上げる人ほどさ

実は

差別しているって事に。

少なくとも私は、その通知が届いた時にそう思ったよ。つくづくさ

投函された紙を見ながら

私は、まだ覚めきれない頭を

動かしていた。


「異形病陽性に伴う管理区移住のお願い」


私も詳しくは分からないが、私が生まれる

ずっとずっと前

この世界は、

激しい疫病に見舞われたらしい。

その病が私も発症した「異形病」

俗称だが世間では、そう呼ばれている。

体の一部が人外みたいな見た目に

変わっちまう…

そんな所からこの名前がついたらしい。

センスが良いのか悪いのか

わからない。ラノベみたいな名前の

病気。それに私は、

かかってしまったらしい。

本当皮肉なもんだと。思いながら

鏡越しもうない片目をなぞっていく。

もう時間は戻らないんだと感じた。


そして時間は今に戻り

場所は、管理区域駅前。

朝方八時。

トランケースとともに待ちぼうけていた。

「確かこの辺だったはずなんだけどな…」

スマホに表示された管理区域案内図を

見てみても管理者が向かいに行きますと

綴られていた。

ブロロロロロ…

ちょうどその時

場の気まずさを

隠すようにエンジンを吹かしながら

一台の黒いバンがロータリーに

入って私の目の前に止まる。

「あんた?新しい入居者って」 

黒いバンから、銀髪ドレッドヘアに

鬼のような赤い肌に大柄な女性が

声をかけてくる。

「あっはい…そうです」

私がおっかなびっくり返事をすると

女性は一つうなずくと

「オッケー 乗りな」

とバンを親指で指した。

「わかりました…」

本当にこの人かな?と

不安もまだ尽きないがこのまま待ちぼうけを

続けるのも嫌なので乗ることにする。

荷物をトランクに積み車が

走り始める。

通り過ぎていく工業地帯のような

景色の数々に不安と

期待が入り混じっていく。

こうして私の第二の人生は

半ば強制的に始まったのだった。








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