第4話 勉強と花

「はぁ~あ」


とある日の朝、教室にて吉野結は盛大なあくびをしていた。

…くそねみ~。

そんなことを思っていたら隣の席の西田花から声をかけられた。


「そんな大きいあくびなんかして、寝不足?」


「…あぁそう。昨日勉強してたら寝るの遅くなっちゃってさ」


何がとは言わないが、花はでかい。そりゃでかい。服の上からでもわかるその大きさ…

花は顔がいいこともあって結構モテてたりする。

ちなみに、中学からの同級生である。

そんなモテモテの花だが付き合ってるということはなくフリーである。

そのため、時々男子生徒が告白してたりする。


そんな花の隣の席という、男子なら羨ましくなる席にいる僕だが、別に花にそういった感情もなく良い友達だ。

…花はなんて思っているかは知らないが。


「…嘘だ~。結が勉強してるとこ想像つかないや。どーせゲームでもしてたんでしょ」


…確かに事実だ。勉強などではなくゲームをして寝不足になっている。

ただ事実なのだが…少しストレートに言い過ぎではないだろうか…


「僕だって勉強ぐらいするさ…」


「…勉強っていうか課題やってるだけじゃん」


ぐっ…そんなことはない。課題だって立派な勉強だ!!

と言い返そうとしたが、自分でもわかっているため口には出さない。


「定期テストもう少しで始まるんだから、そろそろちゃんとやりなよ」


…なんでこいつは嫌なことばかり思い出させるんだ。

定期テスト…来月か。


「…まぁまだ一か月あるし、もうちょいしたらちゃんとやるよ」


「もう、だいたいの子はもう始めてるよ…」


「そうといってもな~めんどくさいことはどうにもな…」


そんな曖昧な感じで答えていたら、


「じゃ、勉強見てあげようか?放課後とかなら暇だし」


そんなことを言ってきた。


…吉野結は勉強が嫌いである。

普段なら、くまなどに勉強しようぜとか言われても断るのだが…

花かわいいんだよな。

僕は別に花を好きではないが、かわいい子と一緒に勉強したいという気持ちがわいてきた。

少し悩んだ後吉野結はかわいい子と勉強を選んだ。


「じゃっ、じゃ、頼んじゃおうかな~」


「ほんと!わかった。都合のいい時言ってね。流石に毎日は無理だけど」


「了解、ありがとな」


「いえいえ~」


話もひと段落したとこでチャイムが鳴った。

前を向くとき目の端に映った花が、上機嫌に見えたのは気のせいだろうか?

…気のせいだな。


そうして、吉野結の一日が始まるのであった。


余談だが、吉野結は鈍感である。

いつか結は自分の鈍感さを呪うのだが、そんなこと今の結が知る由もなかった。

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