まるで自分のために書かれたような本へ。

太宰治の小説を読んだ時に
「これは私のことだ!!この世にこの感情をわかってくれる人は私以外にもいたんだ!」
という感情になる人が多いと聞いたことがある。もちろん太宰治以外でもそんな体験はできるだろう。

この読書体験をするには物語そのものだけではなく、読者自身の考え方や感覚、環境も関わってくるから、なかなか貴重なことだし、大切にしている方が多いと思う。

さて、この物語は
そんな読者体験をした、かつての読者が主人公。

しかし、
過去の「この読書体験」と対面した時の感情は、必ずしも素晴らしいものとは限らない。