どんなところも

 私がずっと抱えていた、モヤモヤしたものの正体がわかった。

 思ったよりもずっと単純で、簡単なことだった。あまりに安易な内容だから、かえって気がつかなかったんだろう。


 物心ついた頃から、ずっと心にモヤモヤしたものを抱えて生きてきた。


 たとえば、ニュースの連続殺人鬼をなぜだか極悪人だと思えなかったこと。

 たとえば、どんなに残忍な事件にもどうしても怒りが湧かなかったこと。

 たとえば、心から個人を愛せなかったこと。

 悪口が嫌いだったこと。

 なんとなく死にたかったこと。

 もっと漠然としたなにか。


 これらの正体はなんなんだろうと、悩み続けていたけれど。うん、すごく納得がいった。

 たぶん私は「人類」を狂おしいほどに愛しているんだろう。

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