第4話 変化した日常

 そして、朝の通学の電車に乗ると。高校到着の三十分前に例の駅に着く。二両目の真ん中のドアが開くと。純様が車内入って来る。ここで何時もは息を殺して純様を観察するのだが。


「あ、おはよう」


 早速見つかり純様に挨拶をされる。


「気になる女子がいるなと思っていたけれど、やっぱり、和穂だ」


 ひえええ!だからその馴れ馴れしいのは不味いって。ファンクラブに張り付けにされる。昨日の帰りは舞い上がっていたから気がつかなかったが。冷たい視線がうちの制服の女子からあたる。


 ゴメンなさい、ゴメンなさい。


 私が純様から離れると、純様は私に後ろから抱きつくのであった。


「うぐぐぐぐ」


 大声を出しかけたがそんなことをしたら大変だ。私は息を飲み込み、純様をなだめる。


「ダメです、ここは電車内です」

「ゴメン……」


 ホント、純様は子供の様に素直で可愛いい所もある。結局、イチャイチャしながら高校に向かうのであった。


***


 休み時間の事である。私がトイレに向かうと、純様のファンクラブの女子に後をつけられる。


 あちゃー。もう、噂が出回ったか。


 この後、トイレに入るだろ……あれだ、トイレの個室にバケツで水ザブンか。残暑が残るこの季節とは言えずぶ濡れは嫌だな。


 やられる前にやるか。


 私は付けてくる女子に声をかける。


「純様の恋人のわたくしに何か御用で?」


 あれ?何か間違えた、これでは私が悪役でないか?


「あぁぁ、あの、こんな事、頼める身分でないけれど、純様の写真が欲しいの……」

「あーら、負け犬に要は無くてよ」


 やはり間違えた。これって、私が悪役だ。


「ゴメン、やり直しで」

「はい?」


 えーと、しかし、主人公のセリフは謎だ。私はこの突然のシンデレラストーリーに困惑するのであった。基本シンデレラには縁遠い存在である。


 悪役令嬢ならできるのになぁ。


「それで、純様の写真は……」


 仕方ないな。私は交換したばかりの純様の写真をファンクラブの女子に転送するのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る