名のない君へ捧ぐ

あと30日

今日は君の鋭い蹴りでアラーム前に起きました。

おはよう、君は眠れたのかな。

生まれる前から2、3時間ごとに起こしてくれる君は、私に産後の心構えをさせてくれているのでしょうか。

今日のおとーにゃんは、君の話を私からたくさん聞いて出勤しました。

君が今日も大変お元気なことに、おとーにゃんはとても笑っていました。

私を通じて君にも見えていることでしょう。

君の仕草はとても、おとーにゃんに似ているから。

休むときに顔に腕を乗せる癖、君は教えるまでもなく知っていましたね。

見てもいないのによく似るものだと、エコーの度に感心しています。

今のところ私に似ているのは背骨くらいですね。

顔の骨格も、おとーにゃんそっくりでした。

お医者さんがエコーを見て、私を見て、

「お父さん似かな？」

と笑いました。

痩せぎすのおとーにゃんそっくりのシャープな顎は、男の子でもかっこいいし、女の子でもメイク映えしそうです。

ただ顎は鍛えようね。

噛む力は大事だよ。

カレーは飲み物じゃありません。

今日の君は右へ左へと180°回転を繰り返して両脇腹と股関節へ地味なダメージを与え続けてくれています。

もう2300gを超えたはずなのに、未だに寝返りをうつ君の行動力には驚かされるとともに、お腹の張り裂ける心配を少ししてしまいました。

君の寝返りは、お腹が縦にとても大きくなって内臓がねじれる感触がします。

ただこれもあと1か月しか味わえないのだと思うと、それはそれで寂しい気持ちです。

今は目を離していても、というか君の姿が見えなくても君の機嫌がわかるけれど、あと1か月したら、目を離すと何もわからなくなるのかな。

君の顔を見るのはとても楽しみで、君をだっこするのもとても楽しみだけれど、常に一緒にいたのに離れてしまう寂しさはどうにも拭えません。

とはいえ早く産まれてほしいとも思っています。

そろそろ、やっぱり重い。

重いだけならいいけれど、重いお腹を庇いながらの生活は少し大変です。

私はとてもこけやすいから、こけないように気をつけるのも大変です。

と言いながら、君が4か月を迎えるまでは1日に何度もこけていましたね。

「おまえ、こけすぎやからな。めっちゃゆれたねんで」

とか、ふてこかわいい関西弁で言われてしまいそうだな、と笑っています。

仲直りしたおとーにゃんは、君が生まれるのに間に合うように帰ってきたいそうです。

応援しかできないけれど、君を第一に考えてくれているのは嬉しいよね。

君は愛されるために生まれてくる子です。

生まれながらにしてたくさんの祝福を受ける子です。

それを忘れないでいてほしいな、と思います。

今日もこれを書いていると嬉しそうにはしゃぐ君に、私も嬉しく思っています。

じゃあ、また明日。

君と会えるまで、あと30日。