抜糸とリハビリ
手術から10日ぐらい経った。私はだいぶ体が動くようになったが、まだボータブルトイレに行くとき以外はベットを降りることは許されていなかった。
私は夜9時に寝ても朝4時には腰が痛くて目が覚め(寝返りが打てないため)頭を上げて5時ぐらいまではどうにか寝て過ごしたが、その後は外から入ってくる光を頼りにナンプレをしたりしていた。
6時過ぎると一応看護師が回ってきて電気をつけてくれたりしたが、ベッドから降りられないのであればやれることは限られる。朝食までの時間が本当に長く感じた。
食事の後、今日は佐々野さんがリハビリに来てくれた。歩行器を持ってきてくれたのだが、「ちょと体触らせてね」と言って、足をもんだり引っ張ったりしだした。「どこが動いてる痛くない」と言われるたび私は「ここが動いてます、少し痛いかな酷くはありません」などと答えていた。佐々野さんは足をどう動かせばどの筋肉が動くかままで把握しているようだった。一通りマッサージが終わると「さ、筋肉もほぐれたし歩行器で歩行練習するわよ」と言ってベッドのそばに歩行器も乗ってきて、補助具を付けて、自分で移ってみて」と言う。私は補助具を付け歩行器に手をかけてゆっくりと立ち上がった。「うん、上手ね、さぁ、行きましょう」と佐々野さんが言って病室を出た。佐々野さんが廊下の仕切りになっているドアを開けると、フロアーを一周できるようになっていた。そのドアは処置室に繋がっているので、普段は閉めてある。一周、二周、三周ぐらいしただろうか。右足もだいぶ使えるようになり、楽ではあったがだんだん疲れてきた。
「もう一周で終わりましょうね」佐々野さんが言って、もう一周して病室に戻った。
病室に戻ってからベッドに上がったときに、佐々野さんが「そういえば靴下履いてるけど」と聞くので、「自分で履きました」と言ったら、「えっ!」と驚いたようなので、靴下を脱いで、履いて見せた。私は体が柔らかい方で、足を曲げなくてもつま先まで手が届く。まあ足が短いのかもしれないけど。靴下を履くのは履くための補助具があるくらい大変なことらしい。
私の靴下の脱ぎ着を見た佐々野さんは「無理はしないのよ」と少し首を振りながら言い。部屋を出て行った。
その日の午後、看護師さんが来て「これから抜糸します」といきなり言ってきた。
それから用意がされ主治医がやって来た。「手術後はだいぶきれいになってきたので今日抜糸しますね」と言い、終わるか説明が終わるか終わらないかのところで抜き始めた。抜糸と言ってもホッチキスの針を抜くようなもので、ひどくはないがピリッとした痛みがある。全部抜き終わると消毒して絆創膏が張られた。
「痛くないですが?」主治医に聞かれ、「大丈夫です」と答えた。それを聞いた主治医は病室を出ていき、看護師が「数日は朝の回診の時に消毒しますね。」と言って片付けて出て行った。
その日はトイレに行く以外はあまり動かないようにしていた。ひどくはないがひきつるような痛みがあるから、でもこれが引いたら少し無理できるようになる。そう思っていた。
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